『1ミリの後悔もない、はずがない』(新潮社)などの作品で知られる一木けいさんの新作小説『9月9日9時9分』(小学館)が3月12日、発売された。
今作の主人公は、バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣。日本の生活に馴染めないでいたなか、高校の渡り廊下で見つけた先輩に一瞬で心奪われてしまう。しかしあるとき、彼が好きになってはいけない人であることに気づく。それでも想いを抑えられない漣は、大好きな家族に嘘をつきながら、道ならぬ恋を続ける――という物語。
著者の一木けいさんはバンコク在住。今作には、そんな一木さんだからこそ書ける美しい情景がたびたび出てくる。たとえばタイの公園の様子を回想する場面では、「どぼんと何かが水へ落ちる音がして顔を向けると、恐竜みたいなオオトカゲが頭だけ出して、ゆっくりと向こう岸へ泳いでいく」という描写がある。日本ではなかなか想像がつかない光景だろう。
初恋の切なさと異国の風景が美しく混ざり合った一冊だ。
本作には、多くの推薦文が寄せられている。
影を帯びながらも、なんてまばゆい小説だろう。痛みを抱えて生きる私たちに寄り添って、「きっと大丈夫」とささやきかけてくれるようだ。――三浦しをんさん(作家)
「魅力的なラストには、初恋の果実を素手でもいで、一生残るかもしれない苦みを受け入れた。少女の確かな成長があらわれている」――浅野智哉さん(ライター)
「最高の幸せが目前にあるのに、受け取れない。大切なものが多すぎて。全てに素直に向かい合う漣も、支える家族も友人も、最高でした」――山内百合さん(丸善・お茶の水店)
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