「若い頃と比べて妻との夜の生活に自信がなくなってきた」
「性欲はあるのに体が反応しない」
「妻が応じてくれなくなった」
など、年齢を重ねるにつれて増えてくる性の悩みの原因には、単純に加齢によるものから、持病によるもの、そして持病の治療薬によるものまで様々ある。
『中高年のための性生活の知恵』(日本性科学会セクシュアリティ研究会著、アチーブメント出版刊)によると、年齢からくる心身の変化によって中高年層のカップルには「性生活」への欲求の不一致が起こりやすく、結果としてセックスレスになりやすいという。この状況を仕方ないと諦めている人もいれば、なんとかならないかと解決策を探している人もいるはずだ。
自分やパートナーの体の変化や心の変化を感じた時が、これまでの性生活を見直す時期かもしれない。若い頃と同じようにセックスを楽しむのは難しいかもしれないが、自分や相手の状態にあったセックスを見つけることは可能だ。
では、中高年になってから性的に充実した生活を送るためにどんなことが必要なのだろうか。
年齢や病気などによって勃起力が衰えたことで、セックスどころかパートナーと触れ合うこと自体を放棄してしまう人は多い。しかし本書によると、たとえ挿入できなくても、愛撫によって女性を喜ばせることは可能であり、それによって男性として達成感を得ることもできるという。
男性機能の衰えはショックなことには違いない。しかし、射精の快感はなくても肌の触れ合いによって満ち足りた気持ちになることはできる。それもセックスの一つの形なのだ。
夫婦間、パートナー間で性欲に差が生まれやすいのも中高年の特徴だ。夫は「まだまだしたい」と考えていても、妻は「もうセックスは卒業」と思っているかもしれない。この差を認識できていないと、双方が歩み寄ることもできない。
セックスについて率直に話せるかどうかは夫婦によって違うはず。しかし、もやもやを抱えたままいても、互いに不満をくすぶらせたままになってしまう。腹を割って話すことで活路が見えてくるかもしれない。
長年連れ添っていると、どうしても自分の気持ちを相手に伝えたり、相手のことを思いやることが少なくなり、逆に「あなたは本当に〇〇な人ね」と、相手を主語にして責めたり非難したり、「ねえ、ごみ捨てはまだ?」と思いやりのない言葉遣いになることが増える。温かな心の交流が減ることはセックスレスの遠因でもあるだろう。
本書によると、互いを思いやり理解しあう関係を取り戻すためには、「わたしは」で始まる言葉で自分の気持ちを伝えることが大切なのだそう。
「わたしは一生懸命やってきたつもりだけど、こんなことが起きてとてもつらい」
「わたしは大事にされていないような気がしてとても寂しい」
など、「わたし」を主語にすることで、相手は自分がどんなことを嫌がりどんなことが好きなのかを理解しやすくなるため、嫌がられる行動をやめることができたり、相手から好ましいと思われる行動をとりやすくなるのだ。
◇
これまでと同じようなセックスができなくなった時は、セックスだけでなくパートナーとの関係そのものも一度見直す時期でもある。
互いに性生活をどう考えているかを話し合い、すり合わせれば、若い頃とは違ったセックスの形や満ち足りた性生活を見いだせるはず。勃起力低下や性交痛への対処法、中高年の性の実態などを実例を交えて解説した本書はその大きな助けになってくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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