読むべき本、見逃していない?

報われない恋はある。どうしようもない。 大木亜希子に寄せられた反響(2)

 15歳から芸能活動を始め、かつてはSDN48にも在籍していた元アイドルで、今は赤の他人のおじさんササポンと暮らす大木亜希子さんの著書『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)が話題だ。

 発刊後に本書の特設サイトには全国の女性から多くの反響が届いているという話を聞き、改めて大木さんを取材した。

 前回(第1回)では、悩んだり精神的に追い込まれたりしても、誰も頼る人がいないときにどうしたらいいのか、また、出会いを求めていろいろな男性とノルマのように食事に行っても、ほぼ無駄だったエピソードや、女性は自分が強いと思ってしまい、仕事も、恋の悩みも、将来の不安も、全部自分で抱え込んでしまうといった読者の反響について聞いた。

 第2回となる本稿では、大木さんに寄せられた恋愛についての読者の反響や次作の構想について語っていただいた。

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写真は、著者の大木亜希子さん(撮影:BOOKウォッチ編集部)

過去の恋愛をほぼリアルに綴った私小説

 女性からの反響が多かった理由として、実は、恋愛の話がフックになっているのではないだろうか。

大木 「実は、この本では私自身、過去の恋愛をほぼリアルに綴っているのです」

 なるほど。恋愛の実経験は、作品の中で割愛や抜粋したとしても、読めば思いや世界観は垣間見えるもの。共感する読者は少なくないはずだ。

 大木さんによると、本書では別の設定に変えて浩介さん(仮名)として登場している男性は実在で、本当に好きで忘れられない人だったそうだ。この本を書いてテレビ出演も決まった時に、なんと、夢に彼が出てきたという。しかし・・・。

大木 「夢に出てきた彼はのっぺらぼうだったのです。今までは顔も鮮明に覚えていたのに、この本を書いたことで、私の中で彼(への想いが)が成仏したことに気が付いて泣いてしまったのです」

 本当に好きな人と結婚できないという女性の痛みや悲しみは寄せられた反響にも多くあったそうで、報われない恋はある、けれど、どうしようもない。そういう辛い想いは、大木さんも共感できているという。
 大木さんが、かつて、精神的に病んで体が動かなくなった時も、実は、仕事のプレッシャーだけでなく、恋愛へのやり切れぬ想いも原因としてあったと語っている。

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写真は、著者の大木亜希子さん(撮影:BOOKウォッチ編集部)

女性は「置かれた場所で咲く」何度でも這い上がれる気がする

 さらに、寄せられた反響について聞いた。

大木 「理想の自分からどんどん離れちゃって、こんなつもりじゃなかったのにって思っても、置かれた場所で咲いていく女性たちの強さも、私は読者から(反響として)いただいたのです」

 寄せられた反響の中には、「本当に好きな人とは結ばれなくて、今は(別の人と)結婚しているけれど、自分の理想と違うと気が付いて、新しい人生を歩もうと思った」というものもあったそうだ。
 なかなかセンセーショナルだ。しかし、これは、自分も本音を言ってもいいと思わせる読後感があるということの現れだろう。
 そのほか、「自分の生き方を見つめなおしてみたくなった」、「自分も体が動かなくなったことがあるが、今は仕事を頑張っている」という反響も届き、女性は、何度でも這い上がれると、読者から学んだという。

大木 「人生、思いがけず自分のステイタスや役職や肩書やスペックが変わってしまっても、あきらめの先に再生が待っている。そのことは、前作の執筆時にも、うすうす気が付いていたのですが、この本を書いて再認識しました」


 大木さんと話していると、本書についての女性からの反響の話がが尽きない。ならば、次回作で、読者の反響に応えてみてはどうだろうか。

―― 読者からの反響を受け止めて、これから書きたいことは?

大木 「恋愛のことですね。本編では浩介さん(仮名)との思い出はあまり入れられなかったけれど、(読者は)みんな恋愛に悩んでいる」
 「恋愛というのは、基本的に相手の動向とか相手から言われた言葉で自分自身を振り返る行為だと私は思っているのですが、寄せられた反響の中では、相手を責めるのではなく自分を責めている人が多かった

 「家庭がある人を好きになって、わかってもらえなかったけれど、好きになれてよかった」という意見も寄せられているという。

 そのため、次作は、幅広く、白黒だけでなくいろいろなグラデーションをもたせ、多角的な視点から「恋愛について」書いていきたいと考えているそうだ。

 大木さんは、人気WEBメディアで執筆するなど、現在はプロのライターでもある。ついつい、逆取材ではないが、話し上手で聞き上手。取材の場を大切にし、作品と真摯に向き合う姿勢が前面に現れていた。著者として読者を気遣う語り口も印象に深い。
 本書は読み手によって読後感がさまざまだ。それだけ感情移入しやすかった作品と言えるのではないか。
 次回作はいつ刊行されるのだろう。


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『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)

 インタビューの最後に、大木さんからのメッセージをいただきました。


プロフィール
大木 亜希子(おおき あきこ)
1989年生まれ。15歳から芸能活動をスタートさせ2005年にドラマ「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)で女優デビュー。2010年、20歳でアイドルに転身しタレント活動と並行してライター業も開始。15年からは会社員として執筆業務を担当し、18年にライターとして独立。著書に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(宝島社)がある。新著『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)の内容は祥伝社のウェブマガジン「コフレ」で一部公開されている。

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