読むべき本、見逃していない?

仕事なし彼氏なしの元アイドル、年の差26歳のおっさんとの奇妙な同居生活(2)

元アイドル、大木亜希子が「赤の他人のおっさん」との共同生活でどう変わった?

 元アイドルで、フリーランスのライターとして活動している大木亜希子さん。著書『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』が2019年11月30日に祥伝社から発売された。

 この本は、約2年前に大木さんが心身ともに疲れ果て、仕事を辞めて「人生に詰んだ」ところから物語が始まる。そして、赤の他人である56歳のサラリーマン(ササポン)との共同生活をスタートさせるのだが、自身の体験を書くに至るまでの経緯は、本稿第1回でも紹介した通り。

 「赤の他人のおっさん」こと、ササポンとの共同生活はどのように大木さんを変えていったのか。大木さんご本人に話を聞いた。

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インタビューにこたえる大木亜希子さん(2019年11月14日BOOKウォッチ編集部撮影、以下同)

「私が会社を辞め、収入が不安定になったこともあり、姉からの勧めでササポンと同居することになったのです。当時は、彼氏もいないし、仕事もない。フリーランスのライターってどうやって仕事をもらえばいいのだろう? と不安ばかり。心が緊張して張り詰めていました」

そんな大木さんに、ササポンは、「大丈夫だよ、誰にでも一つくらい才能があるんじゃない?」とさらり声をかける。ルームシェアの初日、その一言に涙が出たそうだ。

「押しつけがましさを感じない、やさしい言葉に救われた思いでした。ササポンとのほど良い距離感がそう感じさせてくれたのかも。たとえば、上司と部下だと押しつけがましいと感じるかもしれない。家族だったら『お父さんうるさい』ってなるかも。赤の他人だからこそ、私には良かったのだと思います」

いらないものがそぎ落とされていった

著書には、そんなササポンとの何気ない日常や、周囲の友人たちに助けられて、大木さんが本来の自分を取り戻していく等身大の姿がリアルに描かれている。

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「いままで誰かから強要されたわけでもないのに、世の中のフォーマットに沿って、〇歳までにこのくらいの収入がなければいけない、〇歳までにこのくらいの男性をゲットしたい、〇歳までに自分の仕事は正当に評価されたい、という欲望に縛られていた。それが、ササポンの一言ひとことを聞くうちに、いらないものがそぎ落とされていったような感じがしました」

 いらないものがそぎ落とされていったというのは、どういうことだろう。大木さんは、30歳になり、これからも悩むだろうとは感じつつ、自分自身、肩の荷がすっとおりたように自然体でいられるようになってきたと話す。

 そんなふうに大木さんを自然体でいられるように変えていったのは、ササポンの何気ない言動にほかならない。

 そんな大木さんの話を聞いているうちに考えたことがある。生きづらさを感じている女性は、大木さんだけでなく、きっと少なくないだろうと。そして、持っていきようのない「混沌とした」気持ちを抱えている人もきっと少なくないのではないだろうか。

 年齢を重ねるにつれて、いやでも自立を求められ、歩け! っといわれてしまっている女性も多いはず。そんな方にこそ、本作に込められた大木さんの経験や変化を読んでいただきたいと思うに至った。なお、本書はドキュメンタリーだからこそ、特有の説得力をはらんでいるので、その点も参考になるだろう。

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 最後に、大木さんに今後どんなことを書いていきたいのか聞いてみた。

「周りからの些細な一言に敏感で、傷つくことは多いです。私も含め、そういう女の子たちがホッとできるような文章をこれから書いていきたい。それは、自分のためでもあるのですけどね」

(おわり)


インタビューの最後に、大木さんからのメッセージを収録しました。

 

プロフィール
大木亜希子
1989年生まれ。15歳から芸能活動をスタートさせ2005年にドラマ「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)で女優デビュー。2010年、20歳でアイドルに転身しタレント活動と並行してライター業も開始。15年からは会社員として執筆業務を担当し、18年にライターとして独立。著書に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(宝島社)がある。新著『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)の内容は祥伝社のウェブマガジン「コフレ」で一部公開されている。

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