15歳から芸能活動を始め、かつてはSDN48にも在籍していた元アイドルで、今は赤の他人のおじさんササポンと暮らす大木亜希子さんの著書が話題だ。
著書『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)は、TBSの人気番組「王様のブランチ」で1月11日に放映された渋谷TSUTAYA書店の文芸書ランキングでランクインしたほか、1月24日放送の同じくTBSの「爆報!THEフライデー」でもとりあげられている。
BOOKウォッチでも、書籍発刊時に大木さんにインタビューしているが、その後、本書の特設サイトには全国の女性から多くの反響が届いているという話を聞き、改めて大木さんを取材した。
本書は、若い女性と28歳差のおじさん(ササポン)が一緒に暮らすというシチュエーションが話題を呼んだが、実は、女性が生きていく中で感じる生きづらさや、報われない恋のエピソードがちりばめられている。各方面からの反響も、おじさんへの応援歌というよりは、むしろ、多くの女性ファンからの声が目立っているという。
さっそく各メディアから受けた取材の印象から聞いてみた。
―― 出版後には、たくさんの取材やテレビでの露出があったそうですが、印象に残った質問はなんでしょうか。
大木 「印象に残った質問の一つに、ササポンがいない女性はどうしたらいいですか?というものがありました」
「私はマウンティングする人を減らしたくてこの本を書いたのに、私にはササポンがいたから、ササポンのような人がいない方に圧力をかけているような気がしてしまいました」
大木さんは、寄せられた反響から、だれにも頼れない女性が多数いることを、改めて痛感したという。
大木さんは、かつて、精神的に体が動かなくなったときに、ササポンとの暮らしで心が楽になったが(前回のインタビュー参照)、大木さんと違い、ササポンがいない人がほとんどだろう。
大木さんは、この質問について自身では答えが出ていないそうだ。だが、作家のはらだ有彩さんが大木さんにツイートしてくれた言葉に、答えのヒントを見たという。
そのツイートは次の通り(抜粋)。
「ササポン(大木さんの同居人である「赤の他人のおっさん」)はたしかに素敵だけど、そんな稀有な存在にはなかなか巡り会えないし(略)、(ササポンは)一方的に救済してくれる「装置」ではない、それぞれ再生しながらほんの一瞬(あるいは永遠に)並走してくれる隣人(略)」
(出典:はらだ有彩さんのツイッターより)
原田さんの言葉を読んで、大木さんはササポンにだけ救われたのではなくて、自分自身でも立ち直る一歩を踏み出していたことに着目したという。だから、ササポンのような人がいない方に対しては、基本的には自分自身で立ちあがることも忘れないでほしいと感じているそうだ。ただ、それが難しいことも、自身の経験で知っているから、伝えるのは難しいという。
ササポンのような、適度な距離感を保ちつつ、深入りもせず、見返りも求めず、そばにいてくれる人はそんなにいない。だからこそ、悩んだら、自分自身で立ち上がることも必要なのだという。
この作品では女性からの反響が多かったことは前述の通り。多くの反響から恋愛の悩みや女性の強さについて、大木さんも感じたことがあるという。
大木 「女の子は、(未婚の方は)一人暮らしの方が多いのではないかと思います。
今の若い女性は自分で頑張るし、仕事もまじめにするし、努力しないとこの先の未来がないことを知っている。
努力しているからこそ、自分が強いと思っているのです」
だから、仕事も、恋の悩みも、将来の不安も、自分で抱え込んでしまうのだという。そして、相談に的確に答えてくれる人は多くはない。
大木 「自分をよくわかってない人に相談して、よくわからない返しをされたり批判されたりしたら、人に言うより、その想いを誰にも言わずに自分で抱えていた方がまし。という意見もあります」
「彼氏ができたら素直に(悩みを)言ってみても、全然違うボールが帰ってきたりして、やっぱり違った。誰といても人は孤独だと気付くパターンも多いのではないかと思います」
さらに、最近はSNSでコミュニケーションがとりやすくなった半面で、
大木 「SNSで綴ると、全然違うボールが帰ってくるのです。すぐに、その人の人柄が即レスで帰ってくるのです」そういう意見も聞こえてきたという。この意見は、世の男性諸氏は、参考にしなければならないかもしれない。
このように、女性は心のキャッチボールを理解している一方で、かつての大木さんのように、恋人候補を探してノルマ飯(ノルマとして、いろいろな男性と食事の予定を組み、出会いの回数を広げる)を繰り返す人もいる。
―― いろいろな男性と夜ごと食事に行って出会いを求め、自分をすり減らしている女性も多いのでは?
大木 「ノルマ飯では、例えば、50人に会っても(そのうち)49人にはもう一生会わないような無駄な時間でした。ただ、一人だけ友情が芽生えた人はいます」
「偽りの自分で会っていたから、その後に来る連絡も、角度違いなのです。分かり合えないのです」
読者の方でも、きっと、出会いを求めている方はいると思われるが、大木さんの話を聞くと、ノルマ飯は、相手次第とはいえ、確率的にはあまりオススメはできない戦法と言えそうだ。
本書について女性からの反響が多かった理由として、実は、恋愛の要素がフックになっているのではないだろうか。
大木 「実は、この本では私自身、過去の恋愛をほぼリアルに綴っているのです」
なるほど。恋愛の実経験は、作品の中で割愛や抜粋したとしても、読めば思いや世界観は垣間見えるもの。共感する読者は少なくないはずだ。
大木さんによると、本書では別の設定に変えて浩介さん(仮名)として登場している男性は実在で、本当に好きで忘れられない人だったそうだ。この本を書いてテレビ出演も決まった時にも、なんと、夢に彼が出てきたという。しかし・・・。
インタビューの最後に、大木さんからのメッセージをいただきました。
プロフィール
大木 亜希子(おおき あきこ)
1989年生まれ。15歳から芸能活動をスタートさせ2005年にドラマ「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)で女優デビュー。2010年、20歳でアイドルに転身しタレント活動と並行してライター業も開始。15年からは会社員として執筆業務を担当し、18年にライターとして独立。著書に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(宝島社)がある。新著『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)の内容は祥伝社のウェブマガジン「コフレ」で一部公開されている。
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