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HSPがセックスを楽しめないのはどうして? アーロン博士の新刊、テーマは「HSPと恋愛」

 「とても敏感な人」を意味する「HSP」という言葉は、ここ最近で一気に広まった印象がある。それだけ心当たりがあり、「自分はもしかしたら」と思う人が多かったのだと想像できる。

 では、この分野の第一人者であり、「HSP」という概念を初めて提唱したアーロン博士が、繊細なHSPの人が悩みやすい「恋愛」をテーマに著した作品は知っているだろうか。

画像は、『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき HSP気質と恋愛』(青春出版社)撮影:BOOKウォッチ編集部
画像は、『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき HSP気質と恋愛』(青春出版社)撮影:BOOKウォッチ編集部

 その日本版にあたる『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき HSP気質と恋愛』(青春出版社)が、2020年9月20日に発売された。世界15か国で販売され、全米でベストセラーとなった『The Highly Sensitive Person in Love』(Harmony社)の完訳である。

 本書の目次は、以下の通り。

・訳者まえがき
・はじめに
第1章 生まれ持った気質を知ることが、人を愛する時に大切~敏感さと刺激探求~
第2章 理想の男性像と女性像はもう古い~ジェンダーと敏感さ~
第3章 HSPと親密さへの恐れ~幸せなHSPが、幸せな関係を作れる~
第4章 恋に落ちるとは?~神秘の世界の複雑な深部を知る~
第5章 HSPと非HSPカップルの愛の行方~気質の違いから愛を育む方法~
第6章 HSPカップルの愛の行方~懐かしく愛しい自分の片割れと~
第7章 心から満足できる関係を作るために~HSPのためのアドバイス~
第8章 HSP向けの「夜」のお話~未来の詩人のために~
第9章 身近な人への愛と、大いなる「自己」への道~相互関係~
・増補に際して(2016年)
・参考文献
・原著者の謝辞

 HSPを扱った本は書店に多数並んでいるが、恋愛にフォーカスし、ジェンダーや愛着スタイル、性交渉にまで言及した作品は他にないのでは。本書の帯には、原著者のアーロン博士が以下のコメントを寄せている。

「自分を愛し、相手を愛せるよう、あなたにこの本を届けます」

 自身やパートナーがHSPであると感じている人にとって、画期的な恋愛バイブルとなりそうだ。

本当はしたくないのに...

 たとえば、第8章の中の「HSPの夜の営みにアドバイス」という項では、明快かつ具体的に、いわゆるHSPの人が性交渉する際に経験しがちな問題を説明している。

 以下は、『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき HSP気質と恋愛』(青春出版社)より一部引用。

「HSPは相手の求めに同調し過ぎて、自分がリラックスしていない、したくもないのに、パートナーを喜ばせるためだけのセックスをしがちです。(中略)本当はセックスしたくないのに、無理にして、全然気持ちよくないということは、よくあります」

「欲求に身を委ねる前に、現状確認システムが働くことも理由に挙げられます。『性的に抑圧されて育ってきた僕はちゃんとできるだろうか?』『性的にいじめられたことのある私は大丈夫だろうか?』『性感染症は?』『この人を信頼していいの?』といった心配事が邪魔をしてしまうのです」

 このように、HSPの人が恋愛において陥りがちな悩みや、他人との向き合い方、恋を長続きさせる方法など、恋愛の実践的なアドバイスを穏やかな語り口で説いてくれる。本書の読者はあくまでHSPの人を想定して書かれているが、そうでなくとも、似たような悩みを持つ人にとって実りのある内容なのではないだろうか。


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