読むべき本、見逃していない?

「気にしすぎ」の自分、どうしたらいい?

  • 書名 気にしすぎる自分がラクになる本
  • 監修・編集・著者名長沼 睦雄 著
  • 出版社名株式会社青春出版社
  • 出版年月日2019年9月 1日
  • 定価本体980円+税
  • 判型・ページ数新書判・208ページ
  • ISBN9784413211451

 「気にしすぎ」「敏感」「繊細」といったタイトルの本に目が行くのは、ナイーブな感性により、多かれ少なかれ日々つらさを感じているからではないだろうか。

 そうした人を癒そうとする数ある本の中から、本書『気にしすぎる自分がラクになる本』(青春新書 PLAY BOOKS)を手に取ったのにはいくつかの理由がある。まず、著者の長沼睦雄さんは25年間の診療経験を持つ精神科医であり、医学的根拠に基づいて書かれていること。次に、ポイントとなる箇所を太字とマーカーで目立たせたりイラストをつけたりして、読者の理解を助ける工夫がなされていることだ。

「気にしすぎ」の人に最も大切なこと

 長沼睦雄さんは、北海道大学医学部卒業。脳外科研修を経て神経内科を専攻。北大大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。道立札幌療育センターにて14年間小児精神科医として勤務。2008年より道立緑ヶ丘病院精神科に勤務し、小児と成人の診療を行った後、十勝むつみのクリニックを開院した。

 HSC(ひといちばい敏感な子)・HSP(とても敏感な人)、発達障害、発達性トラウマ、愛着障害などの診断治療に専念し、脳と心と体と魂を統合的に診る医療を目指している。『敏感すぎる自分を好きになれる本』など著書多数。

 「はじめに」で気にしすぎという心の動きについて、こう解説している。

「『小さなことを気にしすぎてしまう』というのは、気にしてしまう人の性格の問題だと思われがちですが、実は......脳の働きや、過去の経験、生活様式、親や家族との関係、生まれ持った気質など、さまざまなことが原因で『気にしすぎてクヨクヨ悩む』という心の動きはつくられているのです」

 その上で最も大切なのは、気にしすぎてしまう自分を「やめよう」とすることではなく......

「気にしすぎてしまう自分、その『ありのままの自分』を認めて受け入れて許し、その自分とどうつきあうかを探ること」

 本書は「第1章 『気にしすぎ』ってどういうこと?」「第2章 あなたがクヨクヨしてしまう本当の原因」「第3章 気にしすぎてしまう人に大切にしてほしいこと」「第4章 気にしすぎな自分を受け入れるために」「第5章 『気にしすぎ』を生かす視点が人生を変える」の5章構成。

 長沼さんは「小さなことを気にしすぎてクヨクヨ悩むという現象や、そのとらえ方について、心理学や神経科学、脳科学などの視点を織りまぜ、さまざまな角度から解説を試みました。途中で少し難解な言葉が出てくる箇所もありますが、できるだけわかりやすく説明したつもりです」と書いている。患者、読者にできる限り寄り添いたいという長沼さんの姿勢、人柄が伝わってくる。

医師が丁寧に話しかけてくるような本

 ここでは、「気にしすぎを生み出す思考パターン」と「気にしすぎ体質=HSP気質」を紹介しよう。

 気にしすぎたり、クヨクヨ悩みやすい人は、物事をみるとき、考えるときに「思考のクセ」ともいうべき特有な思考パターンを使っていることが多々あるという。

・「負のフィルター」をかけてしまう
・すべてのことをマイナスにしか考えられなくなる
・「すべき」「あるべき」という考えを強く持ちすぎる
・白か黒かを一気につけたがる
・他人が自分に対して否定的だと結論づける

 こうしたゆがんだ思考パターンがしみついていないだろうか。評者自身、「思考のクセ」を感じたことがある。環境が変わっても同じようなことで悩んでいたとき、自分の感じ方・考え方が変わらない限り、どこへ行ってもまた同じ悩みを繰り返すだろうと思ったのだ。

 次に、5人に1人いるという「HSP気質」(とても敏感な人)が、気にしすぎ・クヨクヨという心の動きに大きく関係している可能性があるという。HSPの特徴とは......

・内省的で静かな生活を好み、衝動的ではなく、危険を冒さず、こまかいことによく気がつく
・五感も六感も鋭く、他人の発するエネルギー、音や光、食べ物(とくに化学物質の入った食品)、薬、脳に浮かぶイメージや夢などにも敏感に反応する

 本書の第1・2章では、マイナス思考のクセや否定的なパワーは、HSP気質、トラウマ、愛着障害、自律神経やホルモン分泌の乱れなどの原因がからみあって生まれるものであり、マイナスの感情のほうが、プラスの感情よりも脳に強い影響があると解説している。

 つまり、気にしすぎ・クヨクヨは簡単にやめられない。かと言って、放っておくと心が折れそうになる。そこで第3章からは、もっと人生をうまく歩いていくための心構え・対処法を伝えている。

 専門用語がならぶ堅苦しい本は無理。でも、スピリチュアルな話ばかりだと信用できない......。本書はこうした心配を払拭している。現役の医師に丁寧に話しかけられているような感覚で読める。まさに「気にしすぎる自分がラクになる本」であり、こうした本に救いやヒントを求めている人に最適な一冊。

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