アガサ・クリスティーの小説の世界には、たくさんのイギリス菓子が登場する。名探偵ポアロやミス・マープル、トミー&タペンスなど、登場人物たちが食べているお菓子が、物語の謎を解くヒントになることも。
2023年12月11日『イギリスのお菓子と本と旅 アガサ・クリスティーの食卓』(二見書房)が発売された。2019年に刊行された『イギリスのお菓子とごちそう アガサ・クリスティーの食卓』の続編だ。
本書では、長編から短編までクリスティーの43作品を取り上げている。
ポアロが食べる焼きリンゴのカスタード添え、クリスティー自身の好物だったロックバンズ、事件の捜査に使われるコーヒーケーキ、ミス・マープルがバーゲンセールの休憩に食べるアップルタルトなど、イギリスの家庭やティールームでおなじみのメニューが登場。クリスティー作品の世界観を舌でも味わえるよう、レシピもついている。
(目次より)
真夜中のココア 『スタイルズ荘の怪事件』
スコーンとゆで卵のランチ 『三幕の殺人』
英国のビールはぬるい 『五匹の子豚』
百年愛されるバースバン 『第三の女』
クリームと草イチゴ 『白昼の悪魔』
なつかしいロックバンズ 『メソポタミヤの殺人』
二本のスプーンとビスケット 『雲をつかむ死』
コーヒーケーキのレシピ 『シタフォードの秘密』
骨董道具"シュガー・カッター" 『マギンティ夫人は死んだ』
栗のお菓子とプラムケーキ 『蒼ざめた馬』
ソーホーとババ・オ・ラム 『エッジウェア卿の死』
カボチャと焼きリンゴ 『ヘラクレスの冒険』
変わり者のグーズベリーパイ 『もの言えぬ証人』
ヨモギギクのお茶 「死のひそむ家」
ピンク・ジンとねずの木 「砂にかかれた三角形」
塩漬け豚とほうれん草 「奇妙な冗談」
ABCショップのチーズケーキ 「サニングデールの謎」
コールド・パイの楽しみ 『秘密機関』
思い出のジンジャー・プディング 『未完の肖像』
デヴォン名物のサイダー 『ビッグ4』
鴨の丸焼きとジギタリス 「毒草」
さくらんぼをのせたケーキ 『蜘蛛の巣』
英国最古の香水・ラベンダー水 『茶色の服の男』
肉料理のつけ合わせ 『牧師館の殺人』
ピクニックの楽しみ 『なぜエヴァンスに頼まなかったのか』
オートミールの粥 『コーンウォールの殺人事件』
芽キャベツとマンドレーク 『カーテン』
イギリスの国民的果物リンゴ 『カリブの秘密』
ジャガイモの保存法 「牧師の娘」
幽霊館のビクトリア・スポンジ 「ランプ」
焼いた干しブドウとクリスマス 『ポアロのクリスマス』
庭園巡りとチョコレート・ケーキ 『復讐の女神』 他
クリスマスやホームパーティの季節にも大活躍しそうな1冊だ。この冬は、あたたかい紅茶と英国菓子をおともに、クリスティー作品の世界にどっぷり浸ってみては。
■北野佐久子さんプロフィール
きたの・さくこ/東京都出身。立教大学英米文学科卒。児童文学は立教大学名誉教授・吉田新一氏に師事。今田美奈子お菓子教室製菓コース師範資格。日本人初の英国ハーブソサエティーの会員となり、研究のために渡英。結婚後は4年間を英国・ウィンブルドンで暮らす。児童文学、ハーブ、お菓子を中心に執筆、講座を行うなど、イギリス文化を紹介している。NHK文化センターの講座を長年数多く担当。
英国ハーブソサエティー終身会員。ビアトリクス・ポターソサエティー会員。
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