本を知る。本で知る。

エリザベス女王も身につけるのを拒否した、英国王室の呪われたダイヤモンドの謎

コ・イ・ヌール

 2023年5月6日、イギリスで、70年ぶりとなるチャールズ国王の戴冠式がおこなわれる。式典を前に話題となったのが、現在英国王室の王冠にはめ込まれている、世界一有名なダイヤモンド「コ・イ・ヌール(光の山)」。カミラ王妃がこれを身につけるかどうかが注目されたが、見送られることが明らかになった。

 2022年に亡くなった女王エリザベス二世も、身につけることを拒否したというこのダイヤモンド。それは、美しさの裏に凄惨な来歴を持っているからだった。コ・イ・ヌールの数奇な物語をまとめたノンフィクション『コ・イ・ヌール なぜ英国王室はそのダイヤモンドの呪いを恐れたのか』(東京創元社)が、注目を集めている。


 現在のインドの地にあったムガル王国、シク王国など、さまざまな持ち主を経て、1849年にイギリスの東インド会社に引き渡されたコ・イ・ヌール。富と力と子孫繁栄をもたらすとされ、数々の権力者が手に入れようとしたが、手にした者はなんとことごとく不幸な運命をたどってしまう。拷問、暗殺、病気......人間にとどまらず、魔の手は宝石を運ぶ船にまで。船内でコレラが蔓延し、嵐に見舞われて......。

 著者のウィリアム・ダルリンプルさんとアニタ・アナンドさんは、イギリスからインド、その前にまでさかのぼって膨大な資料にあたり、古い逸話の謎を徹底的に検証した。なぜ人は、ダイヤモンドを求めて争い、殺し合うのか。訳者の杉田七重さんは、「読みはじめたら、まず途中で本を置くことはできないから覚悟してほしい」と本書の面白さに太鼓判を押している。

■目次
はじめに

第一部 玉座の宝石
 第一章 インド前史のコ・イ・ヌール
 第二章 ムガル帝国のコ・イ・ヌール
 第三章 ナーディル・シャー イランのコ・イ・ヌール
 第四章 ドゥッラーニ帝国 アフガニスタンのコ・イ・ヌール
 第五章 ランジート・シング ラホールのコ・イ・ヌール

第二部 王冠の宝石
 第六章 灰の町
 第七章 少年王
 第八章 イギリスへの道のり
 第九章 万国博覧会
 第十章 最初のカット
 第十一章 ヴィクトリア女王の「忠実なる臣民」
 第十二章 宝石と王冠
 第十三章 「我々はコ・イ・ヌールを取りもどさねばならない」

謝辞

訳者あとがき

■ウィリアム・ダルリンプルさんプロフィール
1965年、スコットランド生まれ。ケンブリッジ大学在学中に発表した、マルコ・ポーロについての評伝In Xanaduがベストセラーになる。サンデータイムズ若手作家年間最優秀賞やヘミングウェイ賞などを受賞。著作に『略奪の帝国──東インド会社の興亡』などがある。

■アニタ・アナンドさんプロフィール
1972年、ロンドン生まれ。キングス・カレッジ・ロンドンで学ぶ。20年以上にわたり、BBCなどのテレビやラジオでジャーナリストとして活躍。2015年に初めての著書Sophia: Princess, Suf fragette, Revolutionaryを発表。

■杉田七重さんプロフィール
すぎた・ななえ/東京都生まれ。東京学芸大学卒。英米文学翻訳家。エドワード・ドルニック『ヒエログリフを解け──ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』、ジェラルディン・マコックラン『世界のはての少年』、クリス・ヴィック『少女と少年と海の物語』など訳書多数。


※画像提供:東京創元社


   
  • 書名 コ・イ・ヌール
  • サブタイトルなぜ英国王室はそのダイヤモンドの呪いを恐れたのか
  • 監修・編集・著者名ウィリアム・ダルリンプル、アニタ・アナンド 著
    杉田七重 訳
  • 出版社名東京創元社
  • 出版年月日2023年3月17日
  • 定価1,210円(税込)
  • 判型・ページ数文庫判・278ページ
  • ISBN9784488070878

ノンフィクションの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?