美容整形、DV、アルコール依存症、老々介護など、「女性の死」の裏には、あらゆる事情がある。何が起きたのかを法医解剖医の視点で書いたノンフィクション『女性の死に方 解剖台から見えてくる「あなたの未来」』がコミカライズされ、4月27日に発売された。
コミック版『女性の死に方』(双葉社)の原作は現役法解剖医の西尾元さん。漫画はあらいぴろよさんが担当した。
私は日々、「死」から「生」を見ている。どのような死を迎えるかは、その人がどのように生きたかと密接につながっている。
20年にわたり約3000体もの遺体を解剖してきた西尾さんはそのように語る。
あまり知られていないが、法医解剖には「司法解剖」「調査法解剖」「監察医解剖」「承諾解剖」の4つがある。よく耳にする司法解剖とは、「事件性がある」と疑われた場合に行う犯罪捜査目的の解剖だが、その数はさほど多くはないという。
西尾さんの法医学教室で行われているのは、「事件性がない」と判断された異状死体に対する調査法解剖(主に身元不明者を対象に犯罪の見逃し防止のために行う)と、死因究明のため遺族の承諾のもとに行う承諾解剖がほとんどだ。遺体の男女比はおよそ7対3で、圧倒的に男性のほうが多い。
本書では、割合としては少ない女性の調査法解剖を取り上げる。解剖をすると、その人の生き方が見えてくるという。
例えば、前日まで元気だった女性が高速バス内で急死した事例では、遺体の皮膚の一部が黒く変色していた。解剖の結果、死因はエコノミークラス症候群だとわかる。そして、そのエコノミー症候群を引き起こした女性の行動は、脂肪吸引だったと判明する。なんの関係があるのだろう......? 意外な理由は作品内で解説されている。
女性の生き方が多様化し、生涯にわたり仕事を続ける人や、結婚という選択をしない人も増えた。西尾氏は、そうした「生き方」の変化が、「死に方」にも大きな変化をもたらす予兆を感じているという。
ライフスタイルの変化で、当たり前となっている行動が、思いもよらぬ死因となりうるかもしれない。
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