第167回直木賞受賞作が、7月20日に発表される。候補作は以下の通りだ。
窪美澄『夜に星を放つ』(文藝春秋)
深緑野分『スタッフロール』(文藝春秋)
永井紗耶子『女人入眼』(中央公論新社)
河﨑秋子『絞め殺しの樹』(小学館)
呉勝浩『爆弾』(講談社)
授賞式に先駆けて、BOOKウォッチ編集部では、特にご紹介したい「推し」候補作を選んだ。
BOOKウォッチの「推し」候補作は、窪美澄さんの『夜に星を放つ』(文藝春秋)だ。各作品が星座の伝説と少しずつリンクした短編集で、窪さんいわく「収録作品すべてが、私にとって等しく推し」。だから、あえて表題作を決めていない。
亡くなった母の幽霊が見えるようになった女子中学生を描く「真珠星スピカ」、妻子と別れて傷心の男がシングルマザーと出会う「湿りの海」など、人間の光と影、喪失と再生の5編。「真夜中のアボカド」「星の随(まにま)に」では、コロナ禍が描かれている。
BOOKウォッチでは本作の書評<寂しさ。悲しさ。そして希望の連鎖。「推せる」短編ぞろいの直木賞候補作。>を掲載しているが、どの作品も素晴らしいため、紹介する作品を選ぶのにとても悩んだ。喪失、困難をくぐり抜け、そこからかすかに見える希望。まさに「夜に星を放つ」、美しい情景が目に浮かぶ。
そのほかの候補作もそれぞれ簡単にご紹介しよう。
深緑野分『スタッフロール』(文藝春秋)
戦後ハリウッドの特殊造形師・マチルダと、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。2人の女性がもがきながら人生を賭けた、映画の"魔法"の物語。
書評はこちら<「5つ星の面白さ」と書店員絶賛。2人の女性の情熱描く「渾身の人生賛歌」>
永井紗耶子『女人入眼』(中央公論新社)
北条政子の娘・大姫を入内させるために鎌倉へ入った、京の女房・周子。繊細な大姫と野心を抱く政子、母と娘の間に横たわる悲しい過去とは。女性のための歴史小説。
書評はこちら<母親に支配された娘が放った復讐の矢 北条政子と大姫の悲劇>
河﨑秋子『絞め殺しの樹』(小学館)
両親の顔を知らないミサエは、10歳で酪農家に引き取られ、奴隷のように働かされた。数々の苦難があったミサエの人生を、息子の雄介が辿っていく一代記。
書評はこちら<親子の「業」が樹木となり、有刺鉄線を呑み込んでいく――読む人を絡めとる、直木賞候補作。>
呉勝浩『爆弾』(講談社)
爆発を予言する男が現れた。慌てふためき協力をあおぐ警察に、男はあっけらかんと"クイズ"を出す。爆発は止められるのか? 心理戦ノンストップ・ミステリー。
書評はこちら<【直木賞候補】読者も「心の形」を暴かれる! 読み応えあるノンストップ・ミステリー。>
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