2023年本屋大賞の受賞作が4月12日に発表される。全国471書店、書店員615人の投票でノミネートされたのは、以下の作品だ。
〈2023年本屋大賞ノミネート作〉
『川のほとりに立つ者は』寺地はるな 著、双葉社
『君のクイズ』小川哲 著、朝日新聞出版
『宙ごはん』町田そのこ 著、小学館
『月の立つ林で』青山美智子 著、ポプラ社
『汝、星のごとく』凪良ゆう 著、講談社
『方舟』夕木春央 著、講談社
『#真相をお話しします』結城真一郎 著、新潮社
『爆弾』呉勝浩 著、講談社
『光のとこにいてね』一穂ミチ 著、文藝春秋
『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒 著、集英社
(作品名50音順)
大賞決定の直前に、各作品をおさらいしておこう。
『君のクイズ』
小川哲 著、朝日新聞出版
BOOKウォッチ編集部の大本命がこちら。著者の小川哲さんは、今年1月に『地図と拳』(集英社)で直木賞を受賞し、今最も注目されている作家の1人だ。生放送のクイズ番組で、対戦相手が問題を読まれる前に正答を出すという、不可解なできごとが起こる。これはヤラセか、それとも? クイズプレイヤーの脳を体験できる、刺激的な作品。
書評はこちら→本屋大賞ノミネート。クイズ番組で何が起こったのか? 一気読み必至です。
『ラブカは静かに弓を持つ』
安壇美緒 著、集英社
編集部が次点で受賞を期待しているのがこちら。音楽著作権を管理する団体の職員が、著作権侵害の証拠をつかむために、一般客を装って音楽教室に潜入する。"スパイ"でありながら、レッスンを通して、主人公の心に講師への信頼が芽生えていき......。実際にあった事件をモチーフにした作品。
書評はこちら→【本屋大賞ノミネート】心震える「スパイ×音楽」小説。読んでて息が詰まりそうに...。
『月の立つ林で』
青山美智子 著、ポプラ社
タケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』を聴く人々。長年勤めた病院を辞めた元看護師、夢を諦められない芸人、仕事と家族のバランスに悩むアクセサリー作家......それぞれの人生と「月」の話を重ね合わせ、前を向いていく。
インタビューはこちら→見えない存在の確かさを――。青山美智子さんが書き留めたかった「この時代の空気感」
『川のほとりに立つ者は』
寺地はるな 著、双葉社
カフェ店長の清瀬は、ある日、恋人が怪我をして意識不明だと連絡を受ける。恋人の部屋を訪れると、そこには3冊のノートが。つづられていたのは、彼が隠していた、ある「秘密」についてだった。
書評はこちら→恋人が意識不明の重体に。残されたノートに隠された「真相」とは――本屋大賞ノミネート『川のほとりに立つ者は』
『汝、星のごとく』
凪良ゆう 著、講談社
瀬戸内海の島で出会った、高校生の暁海と櫂。親に振り回される孤独な2人は、惹かれ合って恋人同士になるが、卒業をきっかけに櫂が上京し、島に残る暁海と離れ離れに。2人はしだいにすれ違っていき......。
書評はこちら→凪良ゆう最新作は、「恋愛小説」の枠にはまらない「愛」の物語
『方舟』
夕木春央 著、講談社
山中の謎の地下建築に閉じ込められた10人。脱出するには、装置を動かす1人が犠牲にならなくてはいけない。水が流入し、タイムリミットは短い。そんな中で殺人事件が起こった。なぜこの状況で? 9人のうち、犯人――死んでもいい命は誰なのか?
書評はこちら→【本屋大賞ノミネート】ラストに絶句...。誰か1人を生贄にしなければ脱出できない。救われるのは誰か?
『#真相をお話しします』
結城真一郎 著、新潮社
2022年、最も売れたミステリー小説。YouTuberを目指した子どもがある真相を語る「#拡散希望」、マッチングアプリをやめられない中年男の顛末「ヤリモク」など、現代的なテーマと驚きの展開で、ミステリーの新境地を切り拓く。
書評はこちら→本屋大賞ノミネート『#真相をお話しします』。普段小説を読まない人にも刺さる。
『爆弾』
呉勝浩 著、講談社
東京に仕掛けられた爆弾。そのありかの手がかりは、容疑者とおぼしき、とぼけた中年男が出す"クイズ"のみ。警察は都民を守れるのか。『このミステリーがすごい! 2023年版』、『ミステリが読みたい! 2023年版』で2冠を達成。
書評はこちら→【直木賞候補】読者も「心の形」を暴かれる! 読み応えあるノンストップ・ミステリー。
『光のとこにいてね』
一穂ミチ 著、文藝春秋
医者の家庭で生まれ育った結珠と、団地の一室で母親と暮らす果遠。交わるはずのなかった2人が出会い、無二の友達になる。しかし突然の別れがやってきて、次に出会ったのは......。"名前のつけられない関係"にとまどいながらも、2人は運命をたぐり寄せていく。
書評はこちら→もどかしくも、繊細。この2人の関係を、あなたならどう表しますか――注目の直木賞候補作
『宙ごはん』
町田そのこ 著、小学館
宙(そら)は小学校入学をきっかけに、育ててくれた「ママ」のもとを離れて、産みの「お母さん」と暮らすことに。愛し方がわからない「お母さん」と、甘え方がわからない宙だったが、やがて2人を食卓がつないでいく。
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