3月24日『母親になって後悔してる』(新潮社)が発売された。
①もし時間を巻き戻せるとしたら、再び母親になりたいと思いますか?
②あなたにとって母になるメリットは、デメリットを上回っていますか?
あなたは何と答えるだろうか。
本書では、この2つの質問に「ノー」と答えた23人の女性(うち5人は孫を持つ)を「母親になって後悔している」女性と捉え、インタビューを重ねていく。
著者はイスラエルの社会学者でありフェミニストでもある、オルナ・ドーナトさん。2011年、親になる願望を持たないユダヤ系イスラエル人の男女を研究した初の著書『選択をする:イスラエルで子どもがいないこと』を発表。2冊目となる本書は2016年に刊行されるとヨーロッパを中心に大きな反響を巻き起こし、世界各国で翻訳が進んでいる。
「望んだわけではありません。払わなければならなかった代償です」
「結局すべては、子どもを持つためなのです。それが社会通念です」
「端的に言えば、自分に向いてないと思いました。好きじゃなかった」
「子どもへの責任感と、子どもを思う気持ちが、常にあります。重荷なんです
「それは自分らしくないことなのです」
「母になると望むことが何もできなくなる。私たちは、そのことと闘うためのシステムを作らなければなりません」
彼女たちの言葉は、複雑で多様だ。母親になることに対して一人ひとり異なる感情を持つことは当然のことだが、母親にならない女性は「わがまま」だと批判され、母親であることに不満を持てば「泣き言」だと切り捨てられ、「母親が辛いのは今だけであり、やがて必ず報われる」と諭される。そんな世の中では、なかなか表に出しづらい。
本書では、彼女たちの声を通して、社会が女性に押し付けている役割や、母親が強制される道徳規範などの存在を示し、女性であれば誰もが直面する理不尽さや苦しさを明らかにしていく。母親であっても独立したひとりの人間であり、母にならない選択肢も当然あり得るのだということを、丁寧に記述している。
本書は2016年にドイツで発表されると、ヨーロッパで大きな反響を巻き起こし、世界各国で翻訳出版が続いている。
「母になる=幸せ」というステレオタイプな考え方が、女性たちを追い詰める。老若男女問わず、意識をアップデートする必要性を考えさせられる一冊。
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