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眞子さま結婚の今、「女性天皇」の真実を知ろう。

「女性天皇」の成立

 10月26日(2021年)に、眞子さまと小室圭さんがご結婚されることが決まり、皇室への関心がにわかに高まっている。こうした時期に、本書『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)が発行された。世間に広がる女性天皇への誤解や偏見を解きほぐすような一冊だ。

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 帯に、「天皇が切望し、国民が圧倒的に(87%)支持する『女性天皇』を、阻むものは何か?」とあり、「わたしたちの『女性天皇』が日本を変える」とある。明確に女性天皇を支持する立場から書かれた本だ。

 だが、著者の高森明勅(あきのり)さんの名前を見て驚いた。高森さんは皇位継承儀礼の研究から出発した神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒、同大学院博士課程単位取得。「皇室典範に関する有識者会議」のヒアリングにも応じた。拓殖大学客員教授などを歴任、現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。國學院大學講師。著書に『天皇と国民をつなぐ大嘗祭』『皇室論』『日本の10大天皇』などがある。

 こうした経歴から女性天皇に反対する立場かと思ったら、まったく正反対だった。冒頭で、令和2年2月16日付「読売新聞」1面の「女性・女系天皇 議論せず/政府方針」というスクープ記事に触れ、不誠実な政府の対応を批判している。

 政府は、上皇さまのご譲位を可能にした皇室典範特例法の附帯決議によって、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」について検討することを約束されていたにもかかわらず、「女性・女系天皇」という課題を議論の対象から外してしまった。附帯決議への「ゼロ回答」以外の何ものでもなかった。

 皇位継承の行方を不安定にしている原因とは、現在の皇室典範がかかえる「構造的」な欠陥にあるという。それは明治の皇室典範ではセットで制度化されていた、(1)正妻以外の女性(側室)のお子様(非嫡出子)やその子孫であっても、皇位継承資格を認めることと、(2)皇位継承資格を「男系の男子」というかつて例を見ない極めて窮屈な条件に縛ること、という2つのルールのうち、(1)を除外しながら、(2)だけを採用していることだ、と指摘する。

 天皇の正妻(皇后)から代々、必ずお一方以上の男子がお生まれになることを期待するのは、無理だ、と書いている。そのために側室の存在が公然と認められ、制度化さえされていた。しかし、現代ではそのようなルールが許されるはずはない。ならば、「男系の男子」という継承資格の縛りも一緒に解除するのが当然だった。しかし、それが見送られたのが「構造的」欠陥だという。

日本には女性天皇の歴史があった

 では、どうしたらいいのか。有識者会議では検討対象とすべき選択肢を5つ挙げている。

 1 女性天皇
 2 女系天皇
 3 女性宮家
 4 内親王・女王がご結婚によって国民の仲間入りをされた後も皇室のご公務を支援できるようにすること(「皇女」プラン?)
 5 皇族でない「皇統に属する男系の男子」が、養子縁組又は別の方法で新しく皇籍を取得できるようにすること(いわゆる「旧宮家」案の進化バージョン)

 4と5を子細に検討し、まず除外している。そして消去法で1、2、3のセットしか残らないと結論づけている。詳細な論理展開は本書を読んでいただきたい。

 「第3章 歴史の中の『女性天皇』」では、天皇の代数としては10代、人数としては8人いた女性天皇について検証している。そして、「天皇」という君主の称号を最初に名乗ったのは、女性の推古天皇であり、「大化の改新」の開始にあたり、決定的な役割を果たされたのも、女性の皇極天皇(重祚して斉明天皇)で、国号が「日本」に改まって最初に即位されたのも、女性の持統天皇だった、と論じている。

 男尊女卑の考え方が強かった中国や朝鮮半島とは異なる「女性尊重」の伝統を失わないできたという。江戸時代でさえ、明正天皇・後桜町天皇という2人の女性天皇が即位された。

 高森さんは、皇室典範の改正案を提案している。その第1条は「皇位は、皇統に属する子孫が、これを継承する」というものだ。これで、女性・女系天皇、女性宮家を可能にする、基礎が整うという。そうすることによって、現在は「秋篠宮殿下、悠仁親王殿下、常陸宮殿下」の3人しかいない皇位継承資格者は、「敬宮殿下、秋篠宮殿下、眞子内親王殿下、佳子内親王殿下、悠仁親王殿下、常陸宮殿下、彬子女王殿下、瑤子女王殿下、承子女王殿下」と大幅に増える。天皇陛下の次の世代だけでも3人増えることになる。

 今の制度のままなら、皇室にはやがて悠仁親王殿下たったお一方だけが残ることになってしまう。そのとき、殿下と結婚したいと考える国民女性がはたして現れるか、と高森さんは危惧する。「男子」を1人以上生まなければならないという重圧に耐えてまで、結婚する人はいるだろうかと。「勇気をもって『やまとごころ』に立ち返り、皇統の危機を根本から打開すべきだろう」と結んでいる。



 


  • 書名 「女性天皇」の成立
  • 監修・編集・著者名高森明勅 著
  • 出版社名幻冬舎
  • 出版年月日2021年9月30日
  • 定価946円(税込)
  • 判型・ページ数新書判・228ページ
  • ISBN9784344986336

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