読むべき本、見逃していない?

下町ロケットのような実話 木のストローを知ってる?

 木のストローをご存じだろうか。2019年大阪サミットをはじめとするG20のすべての会合で採用され、地球環境大賞(農林水産大臣賞)やグッドデザイン賞など、多くの賞に選ばれた、いま注目の商品だ。

 その開発ストーリーが1冊の本になった。2020年10月16日発売の『木のストロー』(扶桑社)だ。

画像は、『木のストロー』(扶桑社)
画像は、『木のストロー』(扶桑社)

 木のストローの企画・開発に携わったのは、住宅会社アキュラホームで広報を担当する西口彩乃さん。アキュラホームといえば、CMでカンナがけを披露する名物社長の姿がまず思い浮かぶ。

 西口さんは社長がカンナがけをしていることからヒントを得て、木材を薄くスライスしたものを斜めに巻き上げることでストローに加工することを思いつくのだが、そもそもなぜそんなことを始めたのだろうか。

 実は、発案者は西口さんと交友のあった環境ジャーナリストの竹田有里さんだ。西日本を中心に大きな被害が出た平成30年7月豪雨の取材をする中で、山に植えた木の間伐(立ち木を間引くこと)が適切に行われていないことに危機感を覚えた。そして近年、世界中で脱プラスチックが叫ばれていることもあり、木でストローを作れないかと西口さんに持ちかけたのだ。

 アキュラホームは木造注文住宅会社とはいえ、ストローとなると完全に畑違い。社内からは、「住宅会社がストローをつくってどうする!」と猛反発を受けたり、ストローを作ってくれるメーカー探しに難航したりと、まるで下町ロケットのようなエピソードが続く。

著者・西口彩乃さん
著者・西口彩乃さん

 木のストローの開発は利益を得ることではなく、間伐材を活用すること、プラスチック製品を減らし環境保全の一助になることを目的としている。

 さらに地元の間伐材を使い、地元で加工し、製造は地元の障がい者施設に任せ、地元の企業が購入して使用するという地産地消のビジネスモデルも作りあげた。環境問題に取り組む企業が増えるなか、業態の枠を超えて新しいビジネスの形まで創出した開発の舞台裏は、読者に一歩動き出す勇気をくれるだろう。

 ちなみに、木のストローはネットでも購入可能。完成品は4本セットで1,500円、自分でストローを巻いて作る手作りキットは10本分で1,800円(いずれも税込み)。

 秋の夜長に木のストローでドリンクを味わいながら、本書を読んでみては。


※画像提供:扶桑社

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