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安田成美さんに教わる「年を重ねる魅力」

日々を編んでいく

 年を重ねることを前向きに捉えることができる女性は、どのくらいいるだろうか。一生懸命生きてきた結果の現在の年齢のはずが、どうしても若者に引け目を感じ、「もうおばさんだし」と自虐的になってしまうこともあるだろう。

 そんなとき見つけたいのが、ロールモデルとなる存在。同世代や年上の素敵な女性の存在は、自信を失いつつある傷んだ心にいい刺激を与えてくれる。

 女優の安田成美さんも、そんなロールモデルとなる一人だろう。本書『日々を編んでいく』(宝島社)は、安田さんが綴った「毎日が心地よく、愛おしくなる素敵な暮らし」のエッセイ23編を収録。現在53歳。二男一女の母、妻、女優である等身大の安田さんに触れることができる。

編み物と人生の共通点

 本書のタイトルにもつながるが、安田さんの趣味は編み物。「糸を編んでいると、時々、まるで自分の人生のように感じることがある」「小さな時間の積み重ねが、少しずつ『私』という形を作っていく」と、編み物と人生の共通点を見い出している。

 「思い通りにできなかったことを投げ出すこともできるし、慎重に、丁寧にほどいていって、一からやり直すこともできる。全てが、私自身の手のうちにあるのです。(中略)そして人生、優に折り返している今だからこそ、これからの私を、どんな色に、形に、大きさにしていこうか」

 特に同世代の人々は「いろいろ考え、感じることが、たくさんあることかと思われます」とした上で、「私なりに思うことを、『私の場合』ということで、いろいろ書いてみました」としている。本書の目次は以下のとおり。

■CHAPTER1 LIFE
 日常/身体の声を聞く・1/物を作る ほか

■CHAPTER2 DAYS
 私の青春・1 どこへでも行ける/母になって/憲武さんは「機嫌のいい人」 ほか

■CHAPTER3 TALK
 Q. 第二の人生、やるべきことが見つかりません
 A. 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ ほか

■CHAPTER4 GOOD AGAIN
 更年期/年を重ねる魅力/憂鬱なとき〜私の場合 ほか

 巻頭には自然な表情を切り取った撮り下ろし写真8ページ、エッセイに添えられた直筆イラスト、一般の人々からの質問に答える形のエッセイもある。チャーミングな笑顔が印象的な安田さんの、朗らかで飾らない人柄が伝わってくる。「リンネル」「大人のおしゃれ手帖」編集長の西山千香子さんはこう書いている。

 「40、50代は悩み多きお年頃。成美さんが綴る暮らしの中に、その答えがきっと見つかります! 親友に相談にのってもらっているような、そんな気持ちになる一冊です」

安田さんが魅力を感じる人は?

 ここでは23編から、安田さんほどの女優もこう感じるのかと、特に共感した2編を紹介しよう。

 1つ目は「なるようになる」から。安田さんは27歳で結婚。その後、メディアで見かける機会は減り、芸能界とは程よい距離を保ちつつ、家庭を大切にしている印象があった。あまり語られることのない当時の心境と、当時を振り返って現在思うことを綴っている。当時は「とにかく早く子どもが欲しかった」のだという。

 「この単純な思いだけで結婚を決めたので、仕事のキャリアや将来の心配など、当時の私には思いつきさえしていませんでした」

 出産後は育児優先の生活となり、その場の状況に応じて、仕事のできる・できないを決めていた。しかし、次男の育児が落ち着いた30代後半にさしかかった頃、なぜか突然、はっとして「アレ!? 私、何もしていない!?」と気づいたのだという。

 「自分の人生の大きな選択を私はすでにしていたんだと気づき、実感した瞬間だったのです。もちろん後悔などは感じなかったのですが、もし、違う選択をしていたら、また別の人生があったのかもしれない――」

 ただ、もう一度27歳に戻ったとしても、「今ある自分を私なりに、気に入っているから」また同じ選択をするだろう、としている。

 2つ目は「年を重ねる魅力」から。欧米に比べて、日本は特に「女性は若くてかわいらしいことがほめそやされがちで(中略)大人の女性に対してリスペクトが足りないなぁ」と感じるという。

 「私は、若さの魅力よりも、いろんな経験を積んで、時を経て、人やものごとを自然に受け入れられること、調和することを知っている人のほうに、いつも魅力を感じてしまいます。(中略)その受け入れ口は、広ければ広いほど、深ければ深いほど、温かく、味わいがあって、より魅力的です。私も、そんな魅力的な大人になりたいと、切に願っているのです」

 安田成美さんは、1966年生まれ。東京都出身。81年にCMでデビュー。映画「風の谷のナウシカ」のイメージソングで歌手としてデビューし、注目を集める。「同・級・生」(89年)など多数のドラマ、映画、CMに出演。94年に結婚。近年、ドラマ「みをつくし料理帖」(2017年)、映画『アーロと少年(日本語吹き替え)』(16年)、舞台「ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ」(18年)などに出演し、仕事と家庭を両立しながら幅広く活躍している。

 誰もが通る道なのだろうが、評者の場合、30代半ばから年齢にまつわるモヤモヤを感じるようになった。そんなどこにもぶつけようのない想いを、本書は和らげてくれる。「自分探しのワクワクを楽しんで」――。「年を重ねる魅力」をはじめ、日々を気分よく過ごすためのヒントを教わることができる一冊。

  • 書名 日々を編んでいく
  • 監修・編集・著者名安田 成美 著
  • 出版社名株式会社宝島社
  • 出版年月日2020年2月19日
  • 定価本体1500円+税
  • 判型・ページ数A5判・136ページ
  • ISBN9784800297075

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