「奇跡のアラフィフ」「可愛すぎる」など、石田ゆり子さんを称賛する記事を最近よく見かける。老若男女問わず、幅広く受け入れられる石田さんの稀有な存在感、注目度の高さがわかる。
本書『Lily ――日々のカケラ――』(文藝春秋)は、2018年1月末の発売直後にベストセラー入り。人気を反映して好調な滑り出しだ。石田さんの大好きなものなどについて綴った21編のエッセイ(「暮らしのカケラ」「わたしのカケラ」)、正直に語ったロングインタビュー(「仕事のこと、恋のこと、これまでの人生について」)、美の秘訣やお気に入りのレシピ、103のQ&Aを収録。写真は撮り下ろし、原稿は書き下ろし、同居する猫の成長日記のおまけ付き。
本書は、等身大の石田さんが惜しみなく収められていて、石田さんの魅力にすでに虜の人はもちろん、まだそうでない人も、石田さんの人柄や世界観に触れて、幸せな気分になるだろう。本書を開くと、優しくて柔和な石田さんの声が聞こえてくるようで、心地いい。
「未完成なものが好き。ちょっと散らかった部屋とか何かの途中にある部屋の雰囲気が好き。ミニマリストにはわたしは絶対になれない」と、大切なものたちに囲まれた「愉しい部屋」を披露している。意外なのは、9歳から17歳まで水泳選手だったという話。「水泳選手時代に得た最も大きなものが『自分』というアイデンティティーを芯から持つことができたこと。比べない。競わない。その精神はわたしの根っこに、どんな時でも、あるのです」と綴る。
石田さんが大切にしている、毎日に溶け込んでいる日々のカケラを拾い集めるように、好きなもの、心の中でずっと思っていること、こだわりを記している。座右の銘は「さらさら流れる時間に逆らわず自然に、潔く、生きていきたい。淀まず止まらず」と掲げているが、自然体で澄んだ石田さんのイメージはそこから来るのだろう。
著者の石田さんは、1969年生まれだから来年は50歳になる。
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