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ハーバード大84年間の研究 「人生を軌道修正する四つの方法」

グッド・ライフ

「よい人生」とは何か? 幸せな人生を送るために必要なものは何か?

 2023年6月20日に発売されるハーバード大教授ロバート・ウォールディンガーさんらによる著書『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』(辰巳出版)は、ハーバード大学の研究をもとに、この哲学的な問いに答えている。今回は、その中から「人生を軌道修正するための四つの方法」を紹介する。

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幸福さを決めるのは「人間関係の量と質」

 84年にわたって2000人以上の協力者を追跡した史上最長の研究の結果、人間の幸福さを予測・決定する因子として判明したのは、「人間関係の量と質」だったという。他の要素がどうであれ、人間関係に恵まれた人は幸せだし、恵まれなかった人は不幸せなのだ。

 しかし、そんなことを言われても、現時点で自分を不幸だと考えている人には何の助けにもならないかもしれない。恋人や友人がいた方がいいというのは一般的にも常識であり、現時点で不幸な人は、それができていないから困っているのだ。

 そんな人のために本書が提案しているのが「人生を軌道修正するための四つの方法」だ。これは、それ自体で人生をよくするものではなく、人生に訪れる軌道修正のチャンスを「逃さない」ための方法であるとされる。

 一つ目は、「ネガティブな感情から目を背けず、しっかり注意をむけること」だ。軌道修正のチャンスとは、人生の課題を解決するチャンスのこと。そもそも自分の抱える課題を理解していなければ、チャンスを認識することもできないという。

 二つ目は、「想像以上にポジティブな経験が訪れたときには、そのことに気づくこと」。人は、よくない経験には敏感だが、よい経験には気づきにくいとされる。日常のなんでもない出来事によい経験を見いだすことが、幸福度を高めることにつながるとされる。

 三つ目は、「他人のよい行動をキャッチするよう努力すること」。これは二つ目の方法の対人関係バージョンだ。経験と同じく、人は、他人のよくない行動にはすぐ気づくが、よい行動には気づきにくい。そのため、相手のよいところに注目することが、自分の幸福にも、人間関係の維持にもつながる。

 四つ目は、「人は予想外の行動をとるものという考えを持ち続けること」。人は相手のことを「あの人は○○な人だ」と決めつけがちで、気に障る部分のある恋人や友人に変化のきざしがあることに気づけない。人の行動に驚く心構えが備わっていれば、人間関係をアップデートしやすくなる。これは、人間関係に直接影響してくるため、四つの中でもっとも効果のある方法だという。

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■ロバート・ウォールディンガーさんプロフィール
ハーバード大学医学大学院・精神医学教授。マサチューセッツ総合病院を拠点とするハーバード成人発達研究の現責任者であり、ライフスパン研究財団の共同創立者でもある。ハーバード大学で学士号取得後、ハーバード大学医学大学院で医学博士号を取得。臨床精神科医・精神分析医としても活動しつつ、ハーバード大学精神医学科心理療法プログラムの責任者を務める。禅師でもあり、米国ニューイングランド地方はじめ世界中で瞑想を教えている。

■マーク・シュルツさんプロフィール
ハーバード成人発達研究の副責任者であり、ブリンマー大学の心理学教授でもある。同大学のデータサイエンスプログラムの責任者であり、以前は同大学の心理学科の学科長を務め、臨床発達心理学博士課程の責任者でもあった。アマースト大学で学士号取得後、カリフォルニア大学バークレー校で臨床心理学の博士号を取得。ハーバード大学医学大学院で博士研究員として健康心理学および臨床心理学の研鑽を積んだ後、現在は臨床心理士としても活動している。


※画像提供:辰巳出版

 
  • 書名 グッド・ライフ
  • サブタイトル幸せになるのに、遅すぎることはない
  • 監修・編集・著者名ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ 著、児島 修 訳、石川 善樹 翻訳監修
  • 出版社名辰巳出版
  • 出版年月日2023年6月20日
  • 定価1,870円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・408ページ
  • ISBN9784777830398

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