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「親ガチャ」を乗り越える「遺伝学」! 全米騒然の話題作『遺伝と平等』日本上陸

遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる

 2023年10月18日、心理学者キャスリン・ペイジ・ハーデンさんの著書『遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる』(新潮社)が発売される。翻訳は、サイエンス翻訳の名手・青木薫さん。

 本書は、米テキサス大学で「遺伝と学歴」の研究を続ける著者が、ビッグデータ時代の研究成果をもとに「新しい平等」を指向する話題作。大澤真幸さん、池内了さん、元村有希子さん、平野啓一郎さんら各界著名人からの推薦コメントも寄せられている。

「優生学」とは一線を画す遺伝学

 今日のアメリカ(や日本)では、学歴が、雇用・収入・医療へのアクセスなどすべてにおいて選択肢の広さ(狭さ)につながっている。その学歴は、生物学的な遺伝に強く影響される。このような状況は、しばしば「親ガチャ」などと表現されてきた。

 本書もまた、同じような社会の状況を「遺伝くじ(THE GENETIC LOTTERY)」と表現し、遺伝が学歴や貧富の差に影響を及ぼすことを認めている。しかし同時に、この「遺伝くじ」の研究は、「遺伝くじによって生じている社会的不平等」を解消するために有用なものでもあるという。

 著者は、遺伝学を、人種差別などに利用しがちだったいわゆる「優生学」とは一線を画し、生まれながらの幸運や能力の存在をまず認識することにより、異なる個性をサポートするための環境や社会の構築に貢献するものと考える。そして、遺伝学の最新の研究成果を認識することで、「新しい平等」を実現できる可能性があるとする。

 最新の研究成果をわかりやすく紹介しながら、随所に実体験も織り交ぜた内容が味わえる。新しい知的興奮と問題提起がこめられた一冊だ。

■キャスリン・ペイジ・ハーデンさんプロフィール
テキサス大学心理学教授。同大学のDevelopmental Behavior Genetics Lab(発達的行動遺伝学研究室)を運営。テキサス双子プロジェクトを共同主催。初の著作となった本書は、「ニューヨーカー」、「ガーディアン」など各媒体で絶賛され、2021年の「エコノミスト」ベストブックに選ばれるなど高評を得た。

■青木薫さんプロフィール
あおき・かおる/1956年生れ。翻訳家。訳書に『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『宇宙創成』など、サイモン・シンの全著作、マンジット・クマール『量子革命』(以上、すべて新潮社)、ブライアン・グリーン『時間の終わりまで  物質、生命、心と進化する宇宙』(講談社)など。著書に『宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論』(講談社)がある。2007年度日本数学会出版賞受賞。『新版 科学革命の構造』(トマス・S・クーン著、みすず書房)にて2023年度日本翻訳家協会翻訳特別賞受賞。


※画像提供:新潮社

  • 書名 遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる
  • 監修・編集・著者名著者:キャスリン・ペイジ・ハーデン
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2023年10月18日
  • 定価3,300円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・398ページ
  • ISBN9784105073510

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