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引きこもりに必要なのは「親の理解」ではない 支援歴30年のタッグが語る「自立への道」

引きこもりの7割は自立できる

 2023年10月18日、二神能基さん、久世芽亜里さんの共著『引きこもりの7割は自立できる』(新潮社)が発売された。

 著者の2人は、自ら創設した「認定NPO法人ニュースタート事務局」で、30年にわたって若者支援の活動を続けている。「レンタルお姉さん」「レンタルお兄さん」という、引きこもり本人に直接働きかける訪問支援を展開すると共に、引きこもりの青年たちをあずかる寮も運営している。こうした活動を通じ、病気など特別の事情がない限り、ほとんどの引きこもりは自立に至るという。本書は、そんな2人の支援ノウハウを一冊に結集したものだ。

第三者の介入が状況を変える

 

 2人は、現在の引きこもり支援には、「支援のミスマッチ」があると指摘する。とくに、現在主流となっている「まず親子の対話を」「本人の意思を尊重して」というスタンスでは、引きこもり問題を本当に解決することは困難だとする。そもそも、引きこもりには「意思がない」人も多く、本人の意思を尊重しても事態は簡単に動かず、結果「支援しても無駄」という諦めムードが蔓延してしまうという。

 本書では、このような従来のスタンスではなく、「一歩踏み込む」支援が提案される。親子間だけで問題を解決しようとするのではなく、第三者による、一歩踏み込む「おせっかいな支援」を挟むことで、ほとんどの引きこもりは自立可能になるという。そのために何をすべきなのか、必要なことは何か。関係者だけでなく、全国に146万人いるとされる「当事者」を主な読者に想定した異色の1冊だ。

■二神能基さんプロフィール
ふたがみ・のうき/1943年生まれ。早稲田大学政経学部在学中から塾を経営し、1990年代より若者支援活動に着手。99年に「ニュースタート事務局」を創設。著書に『希望のニート』『暴力は親に向かう』など。

■久世芽亜里さんプロフィール
くぜ・めあり/「ニュースタート事務局」スタッフ。現在は主に親の相談、事務、広報などを担当している。青山学院大学理工学部卒。著書に『コンビニは通える引きこもりたち』。


※画像提供:新潮社

  • 書名 引きこもりの7割は自立できる
  • 監修・編集・著者名著者:二神能基、久世芽亜里
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2023年10月18日
  • 定価858円(税込)
  • 判型・ページ数新書判・207ページ
  • ISBN9784106110153

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