デビューから29年間、「JJ」や「AneCan」、「STORY」など数々の女性誌のカバーを飾ってきたモデルの高垣麗子さん。プライベートでは6歳の娘を持つシングルマザーです。来年、一年生になる娘の"なっちゃん"は天真爛漫で、おしゃれとアイスクリームが大好きな女の子。そんななっちゃんから毎日幸せをもらっているという高垣さんに、一冊の本を読んでいただきました。
それが、こちら。
『一年一組せんせいあのね こどものつぶやきセレクション』(理論社)は、小学校の教員をしていた鹿島和夫さんと子どもたちとの、いわば交換日記である《あのね帳》から54篇をセレクトしたもの。子どもたちの「つぶやき」に、人気絵本作家・ヨシタケシンスケさんのイラストを添えた心温まる作品集です。
書籍の紹介はこちら→『一年一組せんせいあのね』をヨシタケシンスケが描いたら?
高垣さんが語る本書の魅力とは。そして、今回お話を聞いて明らかになった、ある偶然とは――?
――この本に登場するのは、なっちゃんと同じ年ごろの子どもたちです。みんなの「つぶやき」、いかがでしたか?
どれも「あ~、わかるわかる!」って共感して、とても楽しく読ませていただきました。なかでもこれ、"出席番号25"の「やわらかいごはん」がとっても面白くて。家族の日常の一コマが目に浮かんで、ほっこりしました。
文章もですが、この絵も、なんとも言えない味があっていいですよね。奥にいるお母さんの後ろ姿が大きく描かれていて、お父さんが黙々とごはんを食べてる。それにならって子どもたちもモグモグ......。みんなの表情が家の中での力関係を物語っていて、笑っちゃいました。
それから、子どもたちの「なんで?どうして?」っていう視点が鋭い! うちの娘も時々、大人が思いもしないようなことを質問してきます。
この間も、散歩の途中で花を見つけて「このお花はどこから生えてきたの?」って聞くから、「土の中に種があってね、芽が出て蕾が膨らんで、お花が咲いたんだよ」って一通り説明したんですよね。そうしたら、「じゃあ、その種はどこから来たの?」って聞くんです。「お花の中にあるんだよ」と返したら、「え、なんで? 種があるからお花が咲くんでしょ? どっちが最初なの?」って。私もわからなくなってきちゃって、「んー......、先生に聞いてみよっか」って、パスしちゃいました(笑)。
――すごい! 生命の起源にまで及ぶとは、手ごわい質問ですね。
困っちゃいますよね。間違ったことを教えるわけにもいかないし、かといって、正しい答えがいいとは言えない場合もあると思いますし、難しい......。
「雲が泣いちゃうから、雨が生まれるんでしょ?」とか、遠くのスカイツリーを見ながら歩いていて、「スカイツリーがなっちゃんのことついてくる! おうちまでついてくるかな?」とかって聞かれると、心の中では「違うよ~」って思いながら、その発想を大切にしてほしいなという気持ちもあって。どう伝えるのが正解なんだろうっていつも迷います。
子どもって見たものをすんなり受け取って、感じたままを言葉にするでしょう? この本を読んで、子どもたちの目に映る世界って素敵だなぁって、あらためて思いました。
大人だって、昔はみんな子どもだったし、きっとこれに近い感覚があったはず。私自身、そう言えばこんな風に考えていたなってことがいっぱいありました。大人になる過程でいつの間にか失くしてしまったものを、この本が思い出させてくれたんです。子育て中の方はもちろん、かつて子どもだったすべての方に、ぜひ読んでほしい作品です。
――なっちゃんの素朴な疑問も、今だけの貴重な「つぶやき」ですね。何かに書き留めていますか?
実は、娘が4歳のころから絵日記をつけさせているんです。最初はなんでもいいから今日思ったことや嬉しかったことを書いてみてって促して、あとは娘が感じたままに、書きたいように書いてもらいました。
始めたばかりの時は娘もワクワクして、「明日の分も書きたい!」なんて言ったり、何日か溜まってくると、その日の分を書き始める前に1日目から読み返したりして。今ではもう6冊目になります。
――6冊も! なっちゃんも飽きずによくがんばっていますね。
続けるのは本当にたいへんです。気分が乗ると3、4ページ書いちゃう日もあるんですけど、1行しか書かない日や、忘れちゃう日だってもちろんあります。寝る前に書くのでたいてい眠いんですよ。それでも、「一言だけでもいいから」って言うと、「きょうはねむいからねますーーー」って、ちょっと反抗的に書いたりして(笑)。
それも可愛いし、本当のことだし、いつか読み返した時にすごくいい宝物になるんじゃないかなと思って、この習慣だけは続けているんです。
――まさに、ママとなっちゃんとの《あのね帳》ですね。
そうなんです。平日は日中、娘を幼稚園に預けていますし、帰宅してからも慌ただしくて、ゆっくり話を聞いてあげられないんですよね。週末にまとめて聞こうと思っても、娘はもう忘れちゃってますし。
そんな感じで過ごしていると、あっという間に月日が経っちゃう。夜、絵日記を書く娘の隣にいることで、その日に何があったか、どんなことを感じたかを直接教えてもらえるし、娘もママに報告できるのが嬉しいみたいです。1日10分、20分ほどの短い時間ですが、私にとって、娘と向き合うかけがえのないひとときになっています。
『一年一組せんせいあのね』の編集を担当した理論社の郷内厚子さんは、「先生に限らず、家族でもいいし、友達でもだれでもいい。いろんな《あのね帳》があっていいと思うんです。今回、偶然にも高垣さんがすでに娘さんと実践していらっしゃると知って驚きました。この本をきっかけに、そうした幸せな心のやり取りが広がっていったら嬉しいです」と語ります。
ページをめくりながら、「あ~、こういうこと言いますよね」「このエピソードも泣ける......」と目を細める高垣さん。温かいまなざしで、子どもたちのこころの動きを見つめています。来年、一年生になったなっちゃんが、「せんせい、あのね」とノートにつづる姿を思い描きながら。
■高垣麗子さんプロフィール
1979年、東京都中野区生まれ。『プチセブン』専属モデルとして1994年にモデルデビュー。
以来29年間、ファッションモデルとして女性誌を中心に数々の媒体に登場。『STORY』ではカバーモデルを務めた。
ハッピー感のある笑顔やライフスタイルは多くの支持を集める。食べることが大好きで、発酵食品マイスターなどの資格を持つ。2017年に女児を出産。2023年9月に『わたしの好きのかたち』(光文社)を上梓した。
Instagram @reikotakagaki
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