好きになった人がアスペルガーだったらどうする?
2022年12月1日に発売された『好きになった人はアスペルガーでした』(KADOKAWA)は、「大人の発達障がい」を抱えたパートナーを持つちくわさんの実体験を描いたコミックエッセイだ。
関心が少しずつ高まってきている、大人の発達障がい。最近では「発達障がいのグレーゾーン」「ADHD(注意欠如・多動症)」などの言葉を見かけることも少なくない。
「アスペルガー症候群」は発達障がいの1つで、「対人関係が苦手」「人の気持ちが想像できない」「こだわりが強すぎる」などの傾向がみられる。知的発達や言葉の遅れなどがないため、周囲からは変わった性格の一種とみなされ、なかなか気づかれにくいのが特徴だという。
子供のような無邪気さや裏表のない言動に好感を抱き、テニススクールの担当コーチと交際を始めたちくわさん。ところが、その直球すぎる傾向は、実はアスペルガー症候群の特性によるものだった。そのことを知らないちくわさんは、一般の常識から外れた言動を繰り返す彼に対して次第に違和感を募らせ、ストレスを抑えきれなくなってしまう。
ついに怒りが爆発したちくわさん。すると彼は、アスペルガーの特性のために当時の妻を精神的に追い込み、結局離婚した話を告白した。ちくわさんはそれを受け入れた上で、交際を続けることに――。
そして結婚、子育て......と環境が変わるにつれて、それまで知らなかった夫の特性に気づくことやコミュニケーションの不具合も増えていった。何度も挫折しかけながら、ちくわさんは彼と2人で克服するための対策や生活の工夫を見いだしていく。
ちくわさんは本書について、漫画化(イラスト化)による見た目の分かりやすさがポイントと語っている。
「アスペルガーの夫とのトラブルは、言葉のコミュニケーションだけでなくノンバーバル(人の表情や態度などの非言語な部分)のズレで起こります。また、目や足が不自由な障がいなどとは異なり、見た目には気づきにくい障がいです。よって、イラストに起こすことで、発達障がいという、一見分かりづらい内容も頭に入ってきやすい書籍になっていると思います!」(ちくわさん)
また、『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(講談社現代新書)など多数の著作がある宮尾益知さんのコラムも参考になる。
「アスペルガーにはどんな特性があるのか、一緒に暮らすためのコツはどういったところなのか、などが詳しく解説されており、学びある1冊になっています」(ちくわさん)
大人の発達障がいと上手に付き合うための工夫や考え方のヒントが満載。「あれ、私のパートナーと似てる...」と思ったら読んでみて。
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