社会的に認知度が高まっている「発達障がい」や「グレーゾーン」。しかし、当事者でなくてはわからない困りごとなどがあるのも事実だ。
2022年10月11日『グレーゾーンの歩き方─発達障がい・グレーゾーンの世界を理解する本─』(風鳴舎)が発売される。
本書では、発達障がいの人の日常を体験できるように本人の目線で表現している。起こる問題と対処の仕方、世間を渡っていくためのガイドマップを提示し、世界を旅するような感覚で理解を深めていくのが特徴だ。
じっとしていられない、物事を先延ばしにする、約束を忘れる、手順を覚えることができないなど、社会生活を送るうえでは「困りごと」とされる特性の理由も「本人目線」で見れば、そういうことだったのか、と納得がいく。
本書は10の旅のストーリーで構成されている。「時間のない公園」「やっちまった火山」「コダアリ地獄」などユーモアのあるネーミングとイラストで、楽しく読み進められる。各ストーリーの内容は、下記の通り。
旅のストーリー①エンジン吹かしっぱなしの過酷なレース=オイルサーキットグランプリ、
旅のストーリー②オールマイティに注意を向けるのはムリ=好きなことだけカーニバル、
旅のストーリー③時間感覚がわからない=時間のない公園、
旅のストーリー④感覚情報がうまく処理されない=交通渋滞パニックの街、
旅のストーリー⑤感覚過敏、鈍麻、不安=切り裂きジャックの潜む街角、
旅のストーリー⑥怒りのマグマが爆発して溶岩が吹き出す活火山=やっちまった火山、
旅のストーリー⑦空気は読むものじゃなくて吸うものだ!=ココロ研究所、
旅のストーリー⑧私の不安は誰にもわからない=コダアリ地獄、
旅のストーリー⑨プライド山脈と劣等感が同居する砂漠=ネガティブ砂漠、
旅のストーリー⑩異性とつき合うのは大変だ=コンカツクライミング。
巻頭には、「特性逆引き目次」があり、機能障がいの解説ページから読み進めることもできる。
著者の成沢真介さんは、元特別支援学校教諭で30年に渡る療育の経験から、たくさんの発達障がいの子どもたちと接してきた。
<特性を生かして活躍する人々がいる一方、辛い思いをしている人々も沢山います。(中略)
生きづらさを感じる人やその近くにいる人が「そうか、そういうことなのかもしれないな」と思って少しでも楽に生きられることを願っています。>
(~本書の読み方・使い方~より)
「どうしてあの人は...」と身近な人の行動を理解できずに悩んでいる方は、本人目線で世界を旅することから始めてみては。
【プロフィール】
■著者:成沢真介さん
なりさわしんすけ/元特別支援学校教諭。荘子とH.D.ソローに影響を受ける。日本児童文学者協会にて丘修三氏より児童文学を学ぶ。30年に渡る療育の経験からたくさんの発達障がいの子ども達と出会う。児童書「ADHDおっちょこちょいのハリー」「ジへーショーのバナやん」(少年写真新聞社)の他、「先生、ぼくら、しょうがいじなん?」(現代書館)、「虹の生徒たち」(講談社)、「生きづらさを抱えた子の本当の発達」(風鳴舎)など著書多数。文部科学大臣表彰、日本支援教育実践学会研究奨励賞、兵庫教育大学奨励賞を受賞。
■監修:瀧靖之(たきやすゆき)
東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター副センター長。
脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人に上る。「脳医学の先生、頭がよくなる科学的な方法を教えて下さい」共著(日経BP)、「回想脳 脳が健康でいられる大切な習慣」(青春出版社)、講談社の動く図鑑MOVEシリーズなど著書多数。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?