落ち着きがない、勉強についていけない、コミュニケーションがとりづらいなど、以前は「個性」とみなされていた症状が、「発達障害」や「グレーゾーン」として広く知られるようになった。本書、『かくあげ先生の 発達障害・グレーゾーン 子育て 新ベストテクニック54』は、発達障害・グレーゾーンとされる「特性ある子」の子育て指南書だ。
「特性ある子」には育児の常識とされる指導が逆効果になることもある。本書では、発達障害児教育の専門家が、実践的で効果的なノウハウやテクニックを語る。
著者の「かくあげ先生」こと撹上雅彦さんは、「どのような子にも有効な育児法は存在しない」と言う。そのうえで、特性のある子には「観察とテクニックが9割」として、まずは子どもの状態の観察が重要だと述べている。
本書では、保護者の具体的な質問に答えるかたちで、54のコツを紹介している。
たとえば、「うちの子は勉強が好きでないが、塾の先生に中学受験をすすめられた。どうすべき?」という母親からの質問。「(子供は)勉強も、運動も、音楽も、絵を描くのも苦手」という母親に、かくあげ先生は、「高校受験では内申点が取れない可能性もあるので、中学受験がよいかもしれません」とアドバイスする。
特性のある子どもは、提出物を出し忘れる、授業に集中できない、実技教科が苦手、といった理由から、内申点が悪くなる傾向がある。さらに、反抗期で親の言うことを聞かなくなる、入学できそうな偏差値の高校に通いたがらないといった問題も。一方で、中学受験では、推薦入試や専願入試で特性ある子に有利な入学条件があったり、内申を求める学校でも6年生の1学期か2学期の成績を提出するだけの学校が多く、内申を意識する期間が短くて済むというメリットがある。こうした理由から、高校入試よりも中学入試の方が、ハードルは低くなると考えられる、という。
また、「子どもがYouTubeにハマってしまった」というケースでは、保護者が「30分なら見てもいい」などとルールを決めるのは逆効果になることもあるという。効果的なのは、YouTubeを観る前に子供自身に終わりのタイミングを決めさせること。自分で決めるのなら納得できる子も多そうだ。
しかし、YouTubeは一概に悪ではない。視覚優位の子なら知識のインプットに活用できるし、テレビとは違い積極的な視聴にもなる。場合によってはリフレッシュできる子もいるだろう。むしろ様子を観察して、場合によっては積極的に子育てにYouTubeを活用していく方法を模索していくのも良さそうだ。
かくあげ先生によると、発達障害よりもこわいのは、しつけによる二次障害だという。
実は、かくあげ先生自身も「特性のある子」を持つ親で、息子が発達障害と判明したのは小学校1年生の時。それまでは、ほかの子と同じことができない息子を叱責し、「とてもつらい思いをさせてしまいました」と明かしている。
二次障害の主な特徴には、不眠や下痢、腹痛などの体の変化、対人恐怖やうつ状態、不登校などの精神の変化、強い反抗や暴言、万引き、自傷行為などの行動の変化がある。こうした二次障害を引き起こさないためには、「保護者ががんばりすぎないこと」が大切だという。
本書は、下記のようなお悩みを抱えている方に特にオススメだ。
一般的な育児書のとおりにやっても上手くいかない人
子供を支援学級や支援学校に入学させるべきか悩んでいる人
子供の発達の遅れが気になっている人
子供が周囲の環境にうまく馴染めず心配な人
子供の落ち着きの無さが気になっている人
学校の勉強についていけない子供が心配な人
「特性ある子供」の将来が不安な人
自分の子に一般的な育児書のノウハウが通用しないと不安になってしまう方も多いだろう。まずは、冷静に観察してみるところから始めてみてはいかがだろうか。
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