発達障害やADHDについて、なんとなく知ってはいても、実際にどのような特性を持つのか、どのように付き合っていけばよいのかなど、詳しく理解している人は少ないのではないだろうか。専門書や実用書も多く発売されているが、ここでは「物語」で発達障害を知ることができる書籍3冊を紹介する。
『ひまりのすてき時間割』(井嶋敦子・作/丸山ゆき・絵 童心社)は、現役の小児科医でもある井嶋敦子さんが、ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ小学6年生の視点で描いた物語。
かかりつけ医の和子先生から「最強のADHD」と診断された小学校6年生のひまりは、やりたいことがあると夢中で突っ走る元気な女の子。じっとしていられない、忘れ物が多い、ケアレスミスが多いなどADHDの特性はあるものの、クラスのみんなから愛されていた。しかし、6年生になった途端、真面目な担任・安部深雪先生とソリが合わず叱られてばかり。落ち込むひまりだったが、元気を取り戻し、親友の真由に「見て見て!」と一冊のノートを手渡した。ノートには「ひまりのすてき時間割」と書かれていた。そのノートは、ひまりが「すてき」を目指して試行錯誤する毎日を綴ったノートだった。ひまりが元気になった理由は? 夜のおまじないとは? 真由がノートを読み進めていくと......。
著者の井嶋さんはあとがきで、自身にもADHDとASDの特性があることを自覚している、と明かしている。本書では、しなやかな文体で鮮やかに小学6年生のひまりの内面が描かれる。一人称で綴られる「時間割」は、ひまりが自分の暮らしを見つめ直す目的のため、過去の行動記録でもあり、明日のための覚え書きでもあるそうだ。
「主人公ひまりは、ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持っています。でも本文にも書いたように、これは障がいではなく性格・行動の特性と思いたいのです。もし本人も周囲も困っていなければ、治療なんてしなくていいんです。でも困っていることがあれば、発達特性を見てもらって対応すれば、あなたの明日が変わります。」(「あとがき」より)
本書を読むことで、発達障害の特性を知り、どのように付き合っていけばよいかのヒントが得られることだろう。
遠宮にけさんの小説『あなたを愛しているつもりで、私は――。娘は発達障害でした』(宝島社)には、発達障害と診断された娘を持つ母親の悩みと葛藤が克明に描かれている。フィクションながらもていねいな描写で、現実の発達障害についての理解を深めることができる。読者からは「全ての親たち、教育者たちに必読の本です。」などの声が寄せられている。
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発達障害の娘を持つ母の葛藤。「あなたを愛しているつもりで、私は――」『私たちは凸凹している』(KADOKAWA)は、自身も障害を持つ著者による恋愛マンガ。発達障害を抱える男子・アキラとアパレルメーカーでデザイナーとして働いているサキの恋を描く物語だ。
「男は要らない! 仕事に生きる!!」とアパレルメーカーでデザイナーとして働くサキは意気込んでいた。しかし、意外にも男社会のアパレル業界では、思うように実力を発揮することができず、苦悩する日々。ある日、酔いつぶれたサキはアキラと名乗る年下の男の子と運命的な出会いを果たし、転がるように恋に落ちていった。サキはアキラの誠実さにひかれるが、アキラには目に見えない障害が――。生きづらさを抱えた二人の恋愛に注目。
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発達障害男子とキャリア志向女子 生きづらさを抱える2人の恋のゆくえは?物語を通してADHDやASDなどの特性を知ることで生きやすさや理解につながることを祈る。
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