幼少期には見過ごされていた発達障害に、大人になってから気づく人が増えている。特に女性は、仕事や育児を始めてから気づくことが多いという。「片付けられない」「料理の手順に混乱する」「子どもに向き合えない」など家事や育児の場面で大きな苦痛を感じたり、特に女性の場合は、生理や産後など体の変化に発達障害による悩みが加わって、誰にも相談できずに苦しむ人も。
2021年9月8日『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の女性が上手に生きるための本』(翔泳社)が発売された。
本書は発達障害の女性のためのコミュニティを運営する著者が、ADHD・ADD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)という代表的な発達障害に絞って対策を紹介している。
著者の沢口千寛さんは、自身も大人になってからADHDだと診断された一人だ。同じように発達障害を持つ女性のためのコミュニティ「Decojo」を立ち上げ、当事者会を行うなど活動している。本書は、そんな当事者へのアンケートやインタビューで収集した「生の声」を反映させた1冊だ。仕事や家事、育児、人間関係の悩みはもちろん、生理や産後うつなどの女性特有の悩みも取り上げている。
具体的な行動の仕方から、便利なアプリ・サービス、道具の活用法まで、実践しやすいアイディアが満載だ。
本書の目次は以下の通り。
第1章 自分に合う仕事を見つけたい
・適職がわからない
・会社選びが難しい
・障害者雇用に興味はあるけど、よくわからない
・つい無理をしてしまい、仕事が続かない
・報連相がうまくできない
第2章 家事・生活の悩みを何とかしたい
・片付けられない
・洗濯が苦痛
・掃除ができない
・料理ができない
・すぐ忘れる・よくものをなくす
第3章 育児の悩みを何とかしたい
・子どもの発達特性との向き合い方がわからない
・育児が苦痛で毎日つらい
・育児はおろか、何もできなくなった
・ママ友との関係が苦痛
第4章 疲れ体質を何とかしたい
・お風呂や歯磨きといったルーチンができない
・睡眠の悩みを何とかしたい!
・突然体調不良になってしまう
・におい、音、光とさまざまな刺激から疲れてしまう
第5章 人間関係の苦手を何とかしたい
・人間関係に疲れてしまう
・他人に対してイライラしてしまう
・なぜか嫌われてしまう
・発達障害って周りにカミングアウトすべき?
第6章 女性にありがちな悩みを何とかしたい
・ファッションが苦手
・靴がダサいのを何とかしたい!
・ヘアスタイルをかわいく決めたい!
・メイクが苦手
・生理に関する悩みを何とかしたい!
ママ友との付き合い方やメイクの方法まで網羅された本書。日常生活での営みがうまくいかないと悩んでいる方はぜひ手に取ってほしい。自分に合う方法が見つかるかもしれない。
■沢口 千寛(さわぐち・ちひろ)さんプロフィール
1992年生まれ。大学卒業後、エンジニアとして就職するものの、まったく仕事ができず社内ニートに。
社会人3年目に発達障害の診断を受け、ADHDであると診断される。今まで「個性」だったものが「障害」となったショックから、この気持ちを誰かと共有したいと思い、発達障害を持つ女性のためのコミュニティ「Decojo」を2017年に立ち上げる。話したいけれど誰にも知られたくないという女性の気持ちに配慮し、オンラインでの当事者会から活動をスタートし、2019年には大阪を中心に全国で年間20回以上の対面での当事者会を開催するまでに活動の幅を広げる。Decojoの会員数は700名以上にのぼり、現在も活動を続けている。
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