「汚名を晴らす」「喝采を叫ぶ」「焼けぼっ栗に火がつく」「地位に連綿とする」......。こうした言葉を日常会話で使っている人は、たくさん言葉を知っている知識人......に見えて、そうではない。実はこれ、すべて誤用だ。
2021年9月3日『常識として知っておきたい日本語ノート』(青春出版社)が発売された。
本書では、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)など多くの著書があり、メディアでもおなじみの齋藤 孝さんが、敬語や漢字を含めて間違えやすい日本語を解説していく。
たとえば、冒頭であげた「汚名を晴らす」は「恨みを晴らす」や「疑惑を晴らす」などと混同されがちだが、「汚名をそそぐ(すすぐ)」が正しい。また、「喝采を叫ぶ」は「快哉を叫ぶ」、「焼けぼっ栗に火が付く」は「焼け木杭(ぼっくい)に火がつく」、「地位に連綿とする」は、「地位に恋々とする」が正しい使い方だ。
ネットで1日に300以上のレビューやコメントをチェックするという齊藤さん。秀逸なコメントがたくさん書き込まれており、笑える発言も多く、いつも共感しながら読んでいるという。一方で、そうしたコメントの中には、少なくない割合で日本語の誤表記があるという実態も。
的確な内容のコメントをしても、こういう言葉の間違いを犯すと「センスはいいけど、教養が足りない人なのね」と受け止められてしまうわけです。
多少の間違いはご愛嬌だが、回数が多くなったり正式な文書で間違えたりすると、信用を失ってしまうこともある。本書ではそうした「恥ずかしい間違い」を減らすことを第一の目標としている。
目次は以下の通り。誤用と正しい使い方が一目でわかるようになっており、すぐに使いこなすことができる。
【1章】「混同」の間違い
すべからく/熱にうなされる/怒り心頭に達する ...
【2章】「意味・使い方」の間違い
手ぐすねを引く/名前負け/耳障りのよい曲 ...
【3章】「敬語」の間違い
おっしゃられた/どちらにいたしますか?/ご購入できます ...
【4章】「漢字」の間違い ①同音異字
危機一発/興味深々/一身同体 ...
【5章】「漢字」の間違い ②読み
法の下/遡る/刹那 ...
【6章】「漢字」 ③変化してきた読み方
他人事/一段落/浅草寺 ...
【7章】変化してきた言葉
気が置けるメンバーで一杯/老体にむち打つ/どんでもございません ...
【8章】「ことわざ・故事成語」の間違い
課長のひそみに習う/破天荒なふるまい/私では役不足です ...
本来の意味を知らず誤解したまま使っていると、ビジネスやフォーマルな場で恥をかくことも。この機会にまとめて学んでおきたい。
■齋藤 孝(さいとう・たかし)さんプロフィール
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書多数。著書に『何のために本を読むのか』(青春新書インテリジェンス)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。
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