何度注意しても友だちを叩いてしまう、計算がすぐにできない、漢字が覚えられない......。普段の生活に「ものすごく支障がある」というわけではないが、実は、本人がとても「困っている」のを見過ごしてしまっているのかもしれない。
80万部超えの大ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)の著者、宮口幸治さんの最新刊『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち 2』(扶桑社)が7月2日に発売された。
冒頭にあげた特徴は、やる気がないのではなく、「境界知能」が関係していると宮口さんは指摘する。
本書では、「境界知能」を以下のように定義している。
・昔は知的障害とされていたIQ70~84の人
・35名のクラスに約5人いる
・日本人の7人に1人
・平均的な子の7~8割くらいの発達年齢
境界知能やグレーゾーンの子どもは、「勉強が苦手」「コミュニケーションが苦手」「運動が苦手」といった、学習面や身体面に問題を抱えている傾向にある。一見すると「やる気の問題」で片付けられてしまう事柄ばかりだが、本書では、子どもたちの出すSOSサインにいち早く気が付き、対応するためにはどうすればよいのかを解説している。
SOSのサインとしては、「漢字が覚えられない」「黒板の文字が写せない」「繰り上がり計算ができない」「先生の話を集中して聞けない」「不注意なことが多い」などが挙げられる。これらの問題を抱える子どもは、学習の上で重要な役割を果たす、記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断などの認知機能が弱い可能性が高い。
漢字を覚えられない場合や、図解の理解を苦手とする子どもは「視覚認知」が弱いので、まずは、点つなぎの訓練や、模写を使った視覚認知トレーニングから始めてみるといいという。
本書では、グループワークや家庭訪問、他校との連携など学校では教えてくれない方法を学ぶことができる。
目次は下記の通りだ。
◎第1章 学習の土台ができていない子を見逃すな
CASE17 漢字テストが苦手な子/視覚認知の弱さを見逃すな
CASE18 計算が苦手な子/数の理解の弱さを見逃すな
◎第2章 身体が不器用な子を見逃すな
CASE19 手先が不器用な子/協調運動の弱さを見逃すな
CASE20 力の加減ができない子/ボディ・イメージの弱さを見逃すな
◎第3章 境界知能とグレーゾーンの子を見逃すな
事例を準備しよう
事例について深めよう
子どもの視点で考えよう
支援策を考えよう
◎第4章 非行化の背景を見逃すな<非行編>
家庭の背景を知ろう
協働しよう
少年事件の流れを知ろう
子どものサインを見逃すな
■宮口幸治さんプロフィール
立命館大学産業社会学部教授、医学博士、臨床心理士。
京都大学工学部を卒業後、建設コンサルタント会社に勤務。その後、神戸大学医学部を卒業し、児童精神科医として精神科病院や医療少年院、女子少年院などに勤務している。著書に『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社)などがある。
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