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上野千鶴子、日本女性の「なぜ」に答える 「いまよりちょっとでもマシな社会を」

こんな世の中に誰がした? ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために

 2024年1月24日、社会学者・上野千鶴子さんの新著『こんな世の中に誰がした?』(光文社)が発売された。

 本書は、日本を代表するフェミニストである著者が、日本の女性の人生に何が起きているのか、なぜそうなっているのかを、「仕事」「結婚」「教育」「老後」の4つのステージごとに解説するもの。

 なぜ競争に勝たなくてはいけないのか。そもそも競争は必要なのか。なぜ「つらい」と言いにくいのか。なぜ男よりも優秀な女には居場所がないのか。結婚することは必要なのか。子どもがいない人生は不幸なのか。なぜ老いることがこんなに不安なのか......。「女の人生」に関するさまざまな疑問に答えている。

「こんな世の中に誰がした?」と問いたくなる現状で生きていかなくてはいけない女性たちに寄り添い、ともに未来を向くための言葉を尽くす。不均衡な社会に生きるすべての女性にエールを送る、著者渾身の一冊だ。

わたしはこれまで何度も
「どうせ世の中は変わらない」という諦めの声を聞いてきました。
でも、そうでしょうか。(中略)
あなたには、ほんの少しでも社会を変える力があります。
いまよりちょっとでもマシな社会を、
あとから来る人たちに手渡すために。
──「序章」より

【目次】
序章
東大スピーチから三年。上野千鶴子が東大祝辞で言いたかったこと/女の不幸の原因は社会構造にあった/変わらない世の中を変えていく
Part1 仕事
日本女性は働き者なのに貧乏/見捨てられている、貧乏なおばさん、おばあさんたち/老後も倒れるまで働くしかない?/正規職に就けないのは自己責任ではない/ネオリベ改革で非正就職氷河期世代はなぜ政治に無関心なのか/親ガチャは親親ガチャ、親親親ガチャになる/格差が拡大すれば日本は二流国に転落する/女を分断した男女雇用機会均等法/均等法は女に不当な働き方を要求した/総合職・一般職は性差別だった/企業は女性の能力をムダにしている!/総合職女性がハマった働く女の美学とは?/働き方を変えるべきは男なのに/均等法は企業の都合を優先せよという圧力に屈した/セクハラは職場の潤滑油!?/セクハラは企業のダメージになる/非正規・フリーランスにも保護規定が必要/世の中を変える力を持つには?/生き残りたいならスペシャリストをめざせ!/四〇代、五〇代で再チャージするのが長く働くコツ/やるべきでないこともある/マーケットは自分でつくるもの/上野千鶴子流ケンカの上達法/エネルギーになったのは邪気
Part2 結婚
もう「おひとりさま」は怖くない/貧しい二人が支え合う結婚は増えていない/専業主婦は社会的に消えていく存在/貧困なのになぜ働かないのか?/女を低収入に縛りつける第3号被保険制度/専業主婦優遇策でトクするのは主婦じゃない/制度が誘導する女性の低収入/福祉は家族に任せておけば政府は何もしなくていい/女が男並みに稼げば解決するのか?/本気で夫と向き合えば男は変わる/家庭内離婚―「こういうものだ」ですませていいの?/妻からも子どもからも見捨てられる男たち/育児に関わりたい父親たち/夫が競争から降りることを喜ばない妻たち/現代版専業主婦は家族ファーストでなく自分ファースト/なぜ親は「結婚しなくてもいいから子どもだけは」と言うの?
Part3 教育
「お母さんのようにはなりたくない」女子校出身者/「お母さんのような女を妻にしたい」男子校出身者/ 男の妄想から始まるハラスメント/なぜ東大は女子学生が増えないのか/エリート男を前にした女は二種類に分かれる/「性差を意識したことがない」女の本音/親の望みは「競争に勝ち抜いてほしい」/少子化で子育ての失敗が許されなくなった/競争に勝てなかった子はどうなる?/親の役目は人生の選択肢を増やすこと/真面目な子たちが不登校になる/「学校へ行きなさい」は親のエゴ/スーパーエリートの囲いこみが始まった/偏差値は能力を表していない
Part4 老後
再雇用制度は高齢者の「働きたい」意欲に応えていない/日本企業が定年を延長できない理由/シルバー人材センターは高齢者にやり甲斐すら与えない/年金制度は破綻しない―問題はいくらもらえるか/親に仕送りせずにすむのは年金制度のおかげ/まずは安心できる住まいの確保/老後はひとり暮らしが快適/介護保険に守られているのは親世代だけではない/ひとりで死ぬのは怖い? ひとりで死なせるのは親不孝?/子どもがいる人は死後のことは子どもに丸投げ/なぜアメリカでは健康保険ですら成立しないのか/介護保険はこうしてできた/介護産業の市場規模は一三兆円に/介護の質を保つしくみとは?/介護保険制度の改悪が進んでいる!?/このままでは"老後の沙汰も金次第"に/自助・共助・公助/格差社会はどこへ向かうのか
終章 これからのフェミニズム
若い女の子たちの自分ファーストが社会を変える/台頭する次世代のフェミニストたち/弱者が弱者のままで尊重される社会を/こんな世の中に誰がした?

■上野千鶴子さんプロフィール
うえの・ちづこ/1948年、富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学博士。社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。女性学、ジェンダー研究のパイオニアとして教育と研究に従事。高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい ニッポンのミソジニー』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など著書多数。


※画像提供:光文社

  • 書名 こんな世の中に誰がした? ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために
  • 監修・編集・著者名上野千鶴子 著
  • 出版社名光文社
  • 出版年月日2024年1月24日
  • 定価1,760円(税込)
  • 判型・ページ数208ページ
  • ISBN9784334102036

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