読み聞かせボランティア歴17年のミモザさんがおすすめの絵本を紹介する「ミモザの読み聞かせ絵本」第7回のテーマは、「イマジネーション」です。
最近は「ファスト映画」が問題になるなど、映画や本などのわかりやすいところだけ楽しみたい人、あらすじだけを知りたい人が増えています。絵本もわかりやすい展開があるほうが読みやすいかもしれませんが、絵本の魅力はそれだけではありません。
説明のない絵本を、"感じ"て。自分でイマジネーションをふくらませて読む絵本のおもしろさをお伝えしましょう。
『よあけ』
ユリー・シュルヴィッツ 作・画、瀬田貞二 訳
福音館書店
暗く静かな夜明け前。湖のほとりで、おじいさんと孫が眠っています。
やがて水面にさざなみが立ち、カエルの飛び込む音がし、鳥が鳴き始めます。
湖の夜が、ゆっくりと明けていきます。
柔らかな絵と短い文。読んでいるうちに、自分も湖のほとりにいて、夜明け前の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んでいる心地になります。大人にこそ必要なひとときかもしれません。
絵本自体の対象年齢は4歳頃からですが、ミモザさんは小学校高学年の教室で『よあけ』を読み聞かせます。すると、特に6年生だと教室中がシーン......と静まり返るのだそうです。子どもたちはみんな、湖のほとりに立っている心地になっていることでしょう。空気感や余韻のイマジネーションに浸れる、秋にぴったりの一冊です。
『まるをさがして』
大月ヒロ子 構成・文
福音館書店
まる。まる。まる。この絵本に出てくるのは、「まる」だけ。
まわるまる。まる、はやまる。どんなまるがある?
カンディンスキーや草間彌生など、20世紀の画家が描いた「まる」をあつめた美術絵本です。同じまるでも、大きいまる、小さいまる、カラフルなまる、動きを感じるまる......その表情は無限大。子どもにとってもっとも身近な「まる」という形から、美術のイマジネーションの世界へ招待します。
ミモザさんは、4年生以上の教室で『まるをさがして』を読むときには「美術館に行ったことがある人~」と聞くのだそうです。絵本からなら、美術がぐっと身近に感じられるかも。あなたもお子さんと一緒に、芸術の秋を始めてみては?
『なずず このっぺ?』
カーソン・エリス 作、アーサー・ビナード 訳
フレーベル館
地面から、ひとつの芽が生えてきました。
それを指さして、昆虫たちはこう話します。
「なずず このっぺ?」「わっぱど がららん。」
全編「昆虫語」で書かれた一冊です。英語のオリジナル版も『Du Iz Tak?』という意味のない言葉で書かれていて、広島県在住の詩人アーサー・ビナードさんが日本語の「昆虫語」に翻訳しました。
昆虫が何を言っているのか、読者はわかりません。絵と発音のニュアンスから、イマジネーションをふくらませます。読んでいると、だんだん方言のように思えてくるかも。ちなみにミモザさんが小学校低学年のクラスでこれを読むと、子どもたちはゲラゲラ笑うのだそうです。「昆虫語」は、子どものツボに入るみたいですね。
物語を追うのではない、「自分で物語を構築する」読書体験をぜひしてみてください。
ミモザさんはそうすすめています。イマジネーションの力は、きっと子どもの人生を豊かにするはず。ぜひ絵本を通して、想像の翼をいっぱいに広げてみてください。
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