2024年1月22日、芥川龍之介の原作をもとに、画家・寺門孝之さんが手がけた絵本『芥川龍之介の桃太郎』(河出書房新社)が発売された。
本書は、2005年にピエ・ブックスから刊行された単行本を改題・改訂したもの。掲載画は一部差し替え・加筆修正ののち、すべて原画からあらたにスキャニングされた。
芥川龍之介版「桃太郎」は、1924年、雑誌『サンデー毎日』の臨時増刊号に掲載された昔話「桃太郎」のパロディ小説。桃から生まれた桃太郎が犬、猿、雉を連れて鬼が島に鬼退治に行くというストーリーの骨格こそ同じだが、ユーモアや皮肉が随所に散りばめられ、面白く、鋭く、厚みのある物語となっている。
この小説の桃太郎は「稀代のワル」。鬼が島では、罪のない鬼たちを殺して回る。桃太郎に侵略され、宝物を没収された鬼たちは、自分たちが退治された理由を桃太郎にたずねるが、桃太郎はそれにうまく答えることができない。まるで、最初から理由など何もなかったかのように......。
本書では、当時の日本のメタファーともされるこの物語を、「天使」や「夢」をモチーフとしてきた寺門さんによる、奇抜で素晴らしい挿絵で表現。全身ピンクで編みタイツ姿の桃太郎は、まさに時空を超えて、物語を豊かに肉付けするデザインとなっている。
また、発売にあたって、作家・町田康さんからの推薦コメントも寄せられている。
人間が相争う理由がわかった。こんな桃太郎が目の前に居ったら俺もついていく。目の虚無がえぐい。全員えぐい。(町田康)
■作者紹介
芥川龍之介
あくたがわ・りゅうのすけ/1892年東京生まれ。東京帝国大学英文科卒。「鼻」が夏目漱石の賞賛を受け、作家としての地位を確立。「羅生門」「杜子春」「或阿呆の一生」「河童」など小説をはじめ、随筆、童話、戯曲ほか多数の著作がある。
寺門孝之
てらかど・たかゆき/画家。神戸芸術工科大学教授。大阪大学文学部美学科卒。「天使」や「夢」をモチーフに独自の絵画世界を切り開く。展覧会はじめ、書籍の装画、絵本など幅広く活動。著書に『天使ブック』『ぼくらのオペラ』ほか多数。
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