誰もが知る昔話、「桃太郎」。その始まり方といえば、「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」が一般的だろう。では、おばあさんがなぜ洗濯しに行ったのかご存じだろうか? 実は、古い形の民話で語られているその理由は......。
おじいさんがお便所に落ちたから。
このように、メジャーな昔話の陰には知られざる「ひどい民話」が埋もれていることがある。臭い、下ネタ、倫理観ナシ――そんな「ひどい民話」の数々を、京極夏彦さんをはじめとする面々が語り合う様子をおさめた本『ひどい民話を語る会』(KADOKAWA)が発売された。
本書は、妖怪・怪談エンターテインメント・マガジン「怪と幽」(KADOKAWA)が主催したトークイベントをもとに構成されたもの。「ひどい民話」を持ち寄ったのは、以下の4人だ。
■京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん
小説家、意匠家、お化け友の会代表代行。幼いころから書籍を通して民話に親しんできただけあって、民話にまつわる情報の蓄積量が半端ない。ひどい民話を語る会では進行的な役割も担う。
■多田克己(ただ・かつみ)さん
作家、妖怪研究家。民話との付き合いは専ら妖怪がメインではあるものの、独自路線でひどい民話世界を見つめ、隙あらば妖怪の話をしようとする。
■村上健司(むらかみ・けんじ)さん
ライター。お化け友の会世話役。多田さんと同じく民話は妖怪メインで着目していたが、それなりに民話集は目を通しており、尾籠な話題を好むことからひどい民話を語る会に参加。
■黒史郎(くろ・しろう)さん
作家。民話へのアプローチはやはり妖怪からスタートしているが、興味の対象は妖怪の民話だけに止まらず、他メンバーとは異なる視点でひどい民話を語った。
主催者のみならず出演者まで全員が"お化け関係者"だが、なぜお化けの民話ではなく「ひどい民話」を語ることになったのか? そんなナゾにも注目して読みたい。
本書ではお便所に落ちるおじいさんのほか、ニート桃太郎に半グレ桃太郎、ウンコを食べさせる人とそれに気づかず食べる人、おならで吹っ飛んでいく人など、コンプラもポリコレもゼロのトンデモ民話たちが4人の口から次々と飛び出してくる。
ひどい話が好きな読者にとっては抱腹絶倒の一冊に違いないが、下品な話が苦手な人はくれぐれもお気をつけて。
【目次】
はじめに 京極夏彦
第一部 京極夏彦、多田克己、村上健司
・「桃太郎」――昔話の代表からはじまるひどい民話
・「三人坊主」――なぜ人はウンコと気づかないのか
・「屁っぴり嫁」その一――もはやスペクタクルファンタジー
・「屁っぴり嫁」その二――バキューム型の吸い込ん屁 など
第二部 京極夏彦、多田克己、村上健司、黒 史郎
・「豆粉の置き場所」――老夫婦ときな粉、混ぜるな危険
・「草刈ろう」――草と臭の言葉遊び
・「婆汁」――食べられるだけのお婆さん
・「みとこうもん」――諸国を漫遊しない悪人 など
第三部 京極夏彦、黒 史郎
おわりに 京極夏彦
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