「日本昔ばなしと本格ミステリがまさかの融合!?」――。
2019年、数多くのミステリーランキングに入り、2020年本屋大賞にノミネートされた『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(双葉社)。
「一寸法師」「花咲かじいさん」「つるの恩返し」「浦島太郎」「桃太郎」。誰もが知る日本昔ばなしを題材に本格ミステリに仕上げた本作は、子どもからお年寄りまで幅広い層に読まれベストセラーに。
著者の青柳碧人(あおやぎ あいと)さんは「普段あまり本を読まない方に読んで頂いているようで、とても嬉しいです」とコメントしている。
2020年には、童話×ミステリ『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(双葉社)が刊行された。題材は「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠り姫」「マッチ売りの処女」。童話の世界で起こる事件を、赤ずきんがスッキリ解決していく。
そしてこのたび、昔ばなし×ミステリ第2弾『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』(双葉社)が刊行された。
題材は「かぐや姫」「おむすびころりん」「わらしべ長者」「猿蟹合戦」「ぶんぶく茶釜」。またしても期待を裏切らない、日本昔ばなし×本格ミステリの誕生である。
■収録作品
「竹取探偵物語」
竹から生まれたかぐや姫。竹取のシゲと幸せに暮らしていましたが、ある日シゲの子分であるヤスの家から出火し、焼け跡からヤスが刺殺体で見つかりました......。
「七回目のおむすびころりん」
怠け者のくせに欲張りな惣七じいさん。米八じいさんが金銀財宝をもらった話を聞き、自分もねずみの穴に転がっていきますが、何回も何回もループして......。
「わらしべ多重殺人」
暮らしに絶望していた半太。観音様のお告げで、1本のわらしべを手に西に向かい、出会う人々と物々交換をしますが、その人々はある事情を抱えていたのです......。
「真相・猿蟹合戦」
あまりにも有名な猿と蟹の戦い。いじわるな猿が蟹に柿の実を投げ付け蟹は死んでしまいますが、実はこの話、とんでもない真相があったのです......。
「猿六とぶんぶく交換犯罪」
茶釜に化けて、アクロバティックな演技を披露する狸の茶太郎。この茶太郎、「かちかち山」でうさぎに火をつけられた狸と兄弟だったことはご存知でしょうか......?
本書の公式サイトでは、本シリーズの試し読みができる。また、人気声優・福山潤さんによる「竹取探偵物語」の朗読の冒頭部分を特別公開中。
昔ばなしや童話にはなじみがあっても、そこにミステリが掛け合わさるとどうなるのか? ここでは、試し読みから「竹取探偵物語」を少し紹介しよう。
「俺の名前は堤重直。野山にまじって竹を取りつつよろずの事に使ってる、しがない竹取さ」
なんともクールな語り口である。周囲から変人扱いされているシゲは、人を遠ざけ人から遠ざけられ暮らしていた。
竹取に出かけたある日、無尽蔵に生えた竹の中に「妙なもの」を見つけた。「なんだ、こりゃあ」。竹の節と節のあいだが、光っている。斜めに切り下ろすと......。
「すぱりと切れた竹の中に、親指くらいの大きさの少女がいて、にこにこ笑いながら俺たちを見ていた」
「どうか私をあなたのおうちへ連れていってくださいませんか」
「女の言うことを、やすやすと聞き入れるもんじゃない」と思いつつ、小さいながらにその顔かたちは美しく、薄暗い竹林に放っておくのも気が引ける。シゲは少女を家に連れ帰ることにした。
「お前のことは、なんと呼んだらいい?」
「かぐやとお呼びください」
シゲとかぐやは幸せに暮らした。そう、「あんな悲劇」が起こるまでは......。
なんとユニークな着想だろう。題材を知っていれば入っていきやすいし、なじみのあるものがどう変わるのかも気になる。「読めば必ず誰かに話したくなる、驚き5連続の短編集」。またまたファンが増えそうだ。
■青柳碧人さんプロフィール
1980年千葉県生まれ。早稲田大学卒業。2009年『浜村渚の計算ノート』で第3回「講談社Birth」小説部門を受賞し、デビュー。『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(2019年)は多くの年間ミステリランキングに入り、本屋大賞にノミネートされた。「猫河原家の人びと」をはじめとしたシリーズ作品のほか、『天使のアイディア』『スカイツリーの花嫁花婿』『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』などがある。
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