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40~60代、もう一度小説を読みたい大人へ。家族や日常がテーマの文学「再」入門

大人のための文学「再」入門

 若い頃は小説が好きだったのに、最近めっきり読めていない。そんな大人にぴったりの本が2023年10月13日に発売された。『大人のための文学「再」入門』(立東舎)だ。

 著者の都甲(とこう)幸治さんは、「ニュースウォッチ9」や「100分de名著」などへの出演でも知られる早稲田大学教授。本書はここ5年ほどの間に書かれた都甲さんの書評を中心に、大人たちの日常に根ざしたテーマの本を紹介している。

『大人のための文学「再」入門』都甲幸治 著(立東舎)
『大人のための文学「再」入門』都甲幸治 著(立東舎)

 都甲さんは普段、大学生や大学院生にアメリカ文学を教えている。年齢を重ねて学生たちとジェネレーションギャップが生まれるうちに、自分が大人ならではの挫折や衰えについて誰かと話す場がないことに気づいたという。

 2019年にNHK文化センターで講師を始めたことで、さまざまな人生経験をもった40~60代の受講生たちと出会った。過ごしてきた日々が違えば、同じ作品でも全く違う読み方になることが刺激的だそうだ。たとえば、都甲さんが若い頃に主人公に感情移入して読んだというJ・Dサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を、主人公の母親目線で読む受講生がいて驚いたという。

 本書もそのワークショップのように、大人ならではの読み方でもう一度文学を楽しみ、共有できる場を目指して作られた。「家族と故郷」「愛」「日常」「生き延びること」「社会」「仕事」「記憶」という人生に深く関わる7つのテーマに分けて、書評やエッセイをまとめている。

 もう一度小説を読むきっかけがほしい方は、まずは本書の中から1冊手に取ってみてはいかがだろうか。

【目次より】
・「家族と故郷」について
堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』/坂口恭平『徘徊タクシー』/ジェイ・ルービン『日々の光』 など

・「愛」について
ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』/イサベル・アジェンデ『日本人の恋びと』/パク・ミンギュ『ダブル』 など

・「日常」について
チョン・セラン『アンダー、サンダー、テンダー』/柴崎友香『公園へ行かないか? 火曜日に』/多和田葉子『地球にちりばめられて』 など

・「生き延びること」について
ヘミングウェイ『老人と海』/山下澄人『月の客』/ヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー』 など

・「社会」について
谷崎由依『囚われの島』/マーガレット・アトウッド『誓願』/津村記久子『サキの忘れ物』 など

・「仕事」について
いしいしんじ『マリアさま』/円城塔『文字渦』/村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』など

・「記憶」について
リンドグレーン『長くつ下のピッピ』/三浦哲哉『LAフード・ダイアリー』/エトガル・ケレット『クネレルのサマーキャンプ』 など

■都甲幸治さんプロフィール
とこう・こうじ/1969年福岡県生まれ。翻訳家、早稲田大学文学学術院教授。著書に『ノーベル文学賞のすべて』、『「街小説」読みくらべ』、『今を生きる人のための世界文学案内』、『世界の8大文学賞』、『きっとあなたは、あの本が好き。』、『読んで、訳して、語り合う。都甲幸治対談集』(以上、立東舎)、訳書にトニ・モリスン『暗闇に戯れて 白さと文学的想像力』(岩波文庫)、チャールズ・ブコウスキー『郵便局』(光文社古典新訳文庫)、ドン・デリーロ『ポイント・オメガ』(水声社)などがある。


※画像提供:立東舎


   
  • 書名 大人のための文学「再」入門
  • 監修・編集・著者名都甲 幸治 著
  • 出版社名立東舎
  • 出版年月日2023年10月13日
  • 定価2,420円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・224ページ
  • ISBN9784845639236

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