ルーヴル美術館展に、マティス展に、イヴ・サンローラン展。今年の初夏は話題の美術展が盛りだくさん。興味はあるけど、美術作品は楽しむためのハードルが高そうに見えて、どうしても気後れしてしまう人は多いはず。
2023年5月12日に発売された『知れば知るほどおもしろい 女性画の秘密』(大和書房)は、女性画をテーマに、《モナ・リザ》《オフィーリア》《受胎告知》のような言わずと知れた有名作から、ヘレン・シャルフベックやタマラ・ド・レンピッカの自画像まで、各時代の美術様式の潮流が伝わってくる魅力的な女性画を70点紹介。女性画の変遷をたどりながら、美術史の流れを簡単につかめる内容となっている。
数々の美術入門書を手がけてきた美術ライターである著者の佐藤晃子さんが、モデルのエピソードや画家の作風と生涯、作品の時代背景など、制作の背景を読み解くことで、見慣れた作品でも新しい視点から見られるようにしてくれる1冊だ。
たとえば、日本でも人気のあるミュシャのポスター画のモデルは一体どのような人物だったのか。その一人である当時の人気舞台女優サラ・ベルナールは、当時のフランスを代表するスターだった。作家を抜擢する「目利き」であったことでも知られ、後に『シラノ・ド・ベルジュラック』でブレイクしてフランス随一の劇作家となるエドモン・ロスタンを自分の主演する戯曲の作者に抜擢したという。
女性画と美術史の流れを押さえたら、美術展に出かけてみよう。たとえば、現在開催中で、2023年6月4日まで続く八王子市夢美術館の「アルフォンス・ ミュシャ展」は、本書で学んだ知識を活かすのにもってこいの場だ。
国立新美術館では、コロナ禍後、はじめてのルーヴル美術館展が開かれている。「ルーヴル美術館展 愛を描く」と題して、西洋社会における様々な愛の概念が絵画芸術にどのように描き出されてきたのかを、さまざまな名画を通して紹介。16世紀から19世紀半ばまで、約350年にわたる愛の表現の諸相を紐解いている。ポスターに使用されたフランソワ・ジェラールの「アモルとプシュケ」は必見だ。会期は2023年6月12日まで。
関西在住なら、大丸京都店 6階イベントホールで開催される「ART@DAIMARU」もオススメだ。2023年5月17日から22日にかけて、棟方志功『歌々板画柵 吾妹の柵』からジュリアン・オピー『Ruth Smoking 4』まで、さまざまな女性画を楽しむことができる。
【目次】
1章 15、16世紀の女性画
2章 17、18世紀の女性画
3章 19世紀の女性画①
4章 19世紀の女性画②
5章 20世紀の女性画
■佐藤晃子さんプロフィール
さとう・あきこ/美術ライター。愛知県出身。日本、西洋の絵画をやさしく紹介する書籍を多数執筆する。学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程修了(美術史専攻)。著書に『意味がわかるとおもしろい! 世界のスゴイ絵画』(Gakken)、『源氏物語の解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『画題で読み解く日本の絵画』(山川出版社)、『この絵、誰の絵?』(美術出版社)、『西洋絵画の鑑賞事典』(永岡書店)などがある。
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