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ラッパー・呂布カルマが「去年見た全ての表現の中でぶっちぎり1位」と絶賛する漫画は

(企画名)木曜日は本曜日

 日本を代表するラッパーの一人・呂布カルマさんが、かつて漫画家を目指していたことはご存じだろうか。小学生で漫画を描き始め、大学も芸術大学に通っていたという。小学生の頃にはこんなエピソードが。

(描いていた漫画の)主人公が改造されるシーンがあるんですけど、その腕の断面とかをリアルに描いてて、それを先生に見つかって没収されました(笑)。親を呼び出されたんですよ。「こういう猟奇的なものを描いてる」と。
「1時間目を潰してホームルームにします。ミシマくん(呂布さん)の漫画を読んでる人、立ちなさい」みたいな。何人か立たされて(笑)。

 こんな子ども時代を送った呂布さんが、影響を受けた漫画、そして本とは。

 「週に1回街の本屋さんに足を運んでもらおう」と、東京都書店商業組合が立ち上げたプロジェクト〈#木曜日は本曜日〉。毎週木曜日に著名人・インフルエンサー・作家が「人生を変えた本」を紹介する、〈東京○○書店〉が更新中だ。これまでに、上白石萌音さんラランド ニシダさん、成田悠輔さんらが登場した。

 呂布さんが登場したのは第12回。影響や衝撃を受けた本、そして漫画への思いをたっぷりと語った。


夫婦で"くらいまくった"藤本タツキ作品

 小学生の頃に初めて連載中の新品を買ったという漫画が、徳弘正也さんの『新ジャングルの王者 ターちゃん』(集英社)だ。呂布さんはこの漫画をきっかけに、「筋肉のある男たちが戦う漫画」を描くようになったのだという。今でもよく筋肉を描いているそうで、「電話とかしてたら、目の前にある紙が筋肉だらけになる」と暴露し笑いを誘った。

 呂布さんが今ハマっているのが、『チェンソーマン』がブームになっている藤本タツキさんの作品だ。〈#木曜日は本曜日〉第7回には、『チェンソーマン』の編集を担当している林士平さんも登場した。

 呂布さんは今回、2021年にウェブ上で公開され話題となった藤本さんの読み切り作品『ルックバック』を選んだ。

まさに小学生で漫画を描いていた主人公の話なので、僕の嫁さんプロの漫画家なんですけど、僕も嫁さんもくらいまくっちゃって。去年見た全ての表現の中でぶっちぎりの1位が、この『ルックバック』だったっすね。
こんなん20代のやつとかに同じ雑誌で描いててやられたら、もう本当に筆折るしかないって感じですね。

 自身のラップに対しても「呂布さんのラップを聴いてラップを始めましたと言われるよりも、呂布さんのラップを聴いてラップをやめましたと言われるほうがうれしい」と語る。呂布さんが『ルックバック』を評した言葉は、最上級の褒め言葉ということで間違いないだろう。

本からラップに影響を受けることは「ない」

 漫画以外では、いろいろな人に薦めたという本が、爪切男さんのエッセイ『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)だ。中高の同級生や、出会い系や風俗で出会った女性など、著者がこれまで出会ってきた女性たちに抱いた淡い恋心をつづった作品。呂布さんには、どう刺さったのだろうか。

今まで自分が抱いてきたあらゆる恋心とかスケベ心が全部昇華されるような内容なんですよ。(中略)
その人に向けてる気持ちだったりとか、性欲のこととかも結構書いてあるんですけど、それを何かカッコつけて書くんですよ。おもろいんですけど。その感じもいいんですよね。(自分の気持ちや性欲が)よくないものだと思ってたけど、別に恥じることじゃなかったんだなみたいなのを、改めて思わせてくれる本というか。

 ただし、この本に影響を受けたということは「ない」と断言。アーティストになってからは他人の作品からの影響を受けないようにしているそうだ。読書のスタンスから、プロのラッパーとしてのプライドが見えた。

 動画後半で呂布さんが訪れたのは、東京都板橋区の「大地屋書店大山店」。普段、本屋には主に漫画を買うために訪れるという。しかし30代になってからは、漫画コーナーにいることの気恥ずかしさから、狙いの漫画を決めておいてそれだけを買って帰ることが多くなったのだそうだ。

 漫画は「子どもが成長してから読んだら面白いかなというものは本で持っておく」という、お子さん思いの呂布さん。今回本屋でお買い上げしたのも、"爬虫類女子"だというお子さんのための図鑑だった。


〈呂布カルマさんの「人生を変えた本」10冊〉

『精霊の守り人』上橋菜穂子(新潮社)
『新ジャングルの王者 ターちゃん』徳弘正也(集英社)
『死にたい夜にかぎって』爪切男(扶桑社)
『寺田克也SKETCH』寺田克也(PIE International)
『蒲田行進曲』つかこうへい(KADOKAWA)
「ROCKIN'ON JAPAN(ロッキング・オン・ジャパン)」(ロッキング・オン)
『ルックバック』藤本タツキ(集英社)
『劇光仮面』山口貴由(小学館)
『鈴木ふみ奈写真集 Leap』鈴木ふみ奈(KADOKAWA)
「週刊プレイボーイ」(集英社)

 影響を受けた漫画や画集のほか、「週刊プレイボーイ」やグラビアアイドルの写真集など、グラビア好きとしても知られる呂布さんらしいラインアップとなった。

 〈東京○○書店〉は毎週木曜日に更新される。次回も誰が登場するのか楽しみだ。

 〈#木曜日は本曜日〉公式サイトはこちら。→https://honyoubi.com/

 また、東京の各書店では〈#木曜日は本曜日〉オリジナルデザインのしおりを配布している。配布店舗の一覧はこちら。→https://honyoubi.com/assets/data/present_shoplist.pdf


〈東京呂布カルマ書店〉しおりデザイン
〈東京呂布カルマ書店〉しおりデザイン

■呂布カルマさんプロフィール
りょふ・かるま/1983年生まれ、愛知県名古屋市出身のラッパー。名前は『三国志』に登場する"呂布"と語感のいい"カルマ"を足したものが由来。名古屋芸術大学美術学部を卒業後、プロの漫画家を目指すもラッパーへ転身。2007年の〈UMB〉名古屋予選で活躍し、その名を広める。以来、レーベル〈JET CITY PEOPLE〉からコンスタントに作品を発表。2017年より番組『フリースタイルダンジョン』の2代目モンスターとして出演、人気を博す。2021年に6thフル・アルバム『Be kenja』をリリース。


※画像提供:東京都書店商業組合




 


  • 書名 (企画名)木曜日は本曜日
  • 出版社名(主催)東京都書店商業組合

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