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ラランド ニシダが「明日朝仕事あるのに5時くらいまで読んじゃった」本って?

(企画名)#木曜日は本曜日

「本読んで頭良くなるとか、学力が上がるとか、あんまり好きじゃなくて。」

 そう語るのは、お笑いコンビ・ラランドのニシダさんだ。

 「週に1回街の本屋さんに足を運んでもらおう」と、東京都書店商業組合が立ち上げたプロジェクト〈#木曜日は本曜日〉。毎週木曜日に著名人・インフルエンサー・作家が「人生を変えた本」を紹介する、〈東京〇〇書店〉が更新中だ。これまでに、上白石萌音さん宇賀なつみさんら、錚々たるメンバーが登場している。

 第4回(10月27日更新)に登場したニシダさん。テレビ朝日系バラエティ番組「アメトーーク!」に「読書芸人」として出演するなど、大の読書好きとして知られているが、〈東京ラランドニシダ書店〉にはどんな本を選んだのだろうか?

 ニシダさんにとっての読書は、完全に「娯楽」なのだそうだ。

本当に娯楽でしか読んでなくて。映画見て頭良くなるって言わないじゃないですか。あれと同じ感じで、本も娯楽としてしか読んでないので。

 初めて本の面白さにのめり込んだきっかけは『ハリー・ポッター』だそう。1冊読み切った時の達成感がすごかったと語っている。

 ニシダさんが人生で初めて行った本屋さんは、6歳の頃住んでいた、ドイツのデュッセルドルフの本屋さん。海外の本屋さんは「変な平積み」が多いそうで、「ピラミッドみたいな平積みになってたりとか」「テキトーなやつがその真ん中から(本を)抜いて、ジェンガみたいになってる思い出ありますね」と話し、笑いを誘った。

お笑いも小説も「二兎追ってた方が絶対体力つく」


 ニシダさんが1冊目に紹介した本は、「アメトーーク!」出演時にも紹介していた、近藤康太郎さんの『アロハで猟師、はじめました』(河出書房新社)。新聞記者で、生粋の都会っ子である著者が、出版不況の中で長崎に移り住み、自給自足のために米作りを始め、さらには猟師になるという異色のエッセイだ。ニシダさんはこの本から、こんなメッセージを受け取ったという。

1番好きなこと1個と食べていくためにやること1個っていうのが、どっちも多分相乗効果というか。文章の方も、農業とか狩猟の経験でよくなるし、狩猟の方も、やっぱり文章を書いてきた中での経験で変わっていくし、みたいなのがちょっとあるなと思って。

(自分も)実際小説を書く仕事をやらせてもらってたりとか、ドラマに出させてもらったりとか、芸人からちょっと離れた仕事もさせてもらってるんですけど、どっち頑張ったからって、多分どっちも上がっていくんだろうなって気はするんですよね。ドラマめっちゃ頑張ったら、多分お笑いのほうも上がるだろうし。

 インタビュアーが出した「二兎を追う者は一兎をも得ず」という言葉には、「二兎追ってた方が絶対体力つくじゃないですか」と切り返す。そんなニシダさんのマインドに、『アロハで猟師、はじめました』はとても大きく関わっているようだ。

 2冊目に紹介したのは、ナイジェリアの作家チゴズィエ・オビオマさんの『ぼくらが漁師だったころ』(早川書房)。家族に起こった悲劇を子どもの目を通して神話的に描いた小説で、ロサンゼルス・タイムズ文学賞を受賞するなど、世界で注目を集めた。

 ニシダさんは、それまで海外文学があまり得意ではなかったそう。ところが、装丁の美しさに惹かれて偶然この本を買い、仕事の前日に朝5時まで読んでしまうほどドハマりしたのだそうだ。

これ以降、めっちゃ海外文学読むようになりました。「ああ、海外文学めっちゃ面白いんだ」っていうのに気づかせてくれた本です。

「写経、始めたところです」

 3冊目は、山野辺太郎さんの『孤島の飛来人』(中央公論新社)。会社の実証実験のために風船で空を飛んだ男が、無人島に漂着したものの、その島には人が住んでいてひそかに「王国」が生まれていた......というファンタジー小説だ。ニシダさんはこの本の文章力に感銘を受け、ノートに小説の「写経」を始めたところなのだそう。進捗状況は「まだ全然何も見えてない」そうだが......1冊写し終わる頃には、ニシダさんの文章も人生も大きく変わっているかもしれない。

 動画後半では、ニシダさんが日頃からよく通っている「ジュンク堂書店池袋本店」へ。「ここで俺めちゃくちゃ金使ってる」「オススメ系に関しては、ジュンク堂の池袋本店が一番信頼感あるかもしれない」と、魅力を力説するニシダさん。店員の頼みで『孤島の飛来人』のPOPを書くことになったが、「POP書く才能ないかも俺......」とつぶやきながら仕上げたその腕前はいかに。


〈ラランドニシダさんの「人生を変えた本」10冊〉

『アロハで猟師、はじめました』近藤康太郎(河出書房新社)
『孤島の飛来人』山野辺太郎(中央公論新社)
『コンプレックス・プリズム』最果タヒ(大和書房)
『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』高橋ユキ(晶文社)
『人間の建設』小林秀雄、岡潔(新潮社)
『密やかな結晶』小川洋子(講談社)
『火守』劉慈欣(KADOKAWA)
『ぼくらが漁師だったころ』チゴズィエ・オビオマ(早川書房)
『ポロポロ』田中小実昌(河出書房新社)
『レトリック感覚』佐藤信夫(講談社)

 異世界に誘う本、知識欲を刺激する本など、ニシダさんの「面白い」のツボが垣間見える選書だ。

 〈東京〇〇書店〉は毎週木曜日に更新される。来週の書店も楽しみに待ちたい。

 〈#木曜日は本曜日〉公式サイトはこちら。→https://honyoubi.com/

 また、東京の各書店では〈#木曜日は本曜日〉オリジナルデザインのしおりを配布している。配布店舗の一覧はこちら。→https://honyoubi.com/assets/data/present_shoplist.pdf

〈東京ラランドニシダ書店〉しおりデザイン
〈東京ラランド ニシダ書店〉しおりデザイン

■ラランド ニシダさん
お笑いコンビ「ラランド」のツッコミ。1994年7月24日山口県宇部市生まれ。最終学歴は上智大学外国語学部中退(退学後面接を受けて再入学するが、履修登録ミスのため再び退学)。趣味は読書で年間純文学を中心に100冊以上を読む。最近では小説家デビューを果たすなど芸人をしながら執筆活動も積極的におこなっている。





 


  • 書名 (企画名)#木曜日は本曜日
  • 出版社名(主催)東京都書店商業組合

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