2022年9月20日、爆笑問題・太田光さんの『芸人人語 コロナ禍・ウクライナ・選挙特番大ひんしゅく編』(朝日新聞出版)が発売された。
朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に連載中の、太田さんのコラム「芸人人語」。本書は「一冊の本」2020年12月号から2022年8月号までの連載に加筆・修正したもの。2020年に発売された『芸人人語』に続く、待望の第2弾となる。
「芸人人語」は朝日新聞の「天声人語」をもじったものだが、本家「天声人語」より「長くて深くて、切れ味鋭い!」と評判なのだという。
「石原慎太郎とオワコン」「アンジャッシュ渡部と不倫」「小山田圭吾氏といじめ」「東京五輪のドタバタ劇」「安倍晋三元首相の死去」など、話題となった出来事から人間の未熟さ・弱さを見つめ、世の中の深層をえぐる21編を収録。様々なテーマを、太田さんが忖度なしで論じる。
たとえば、こんなふうに世相を斬る。
「国際社会の常識」という言葉を私はとても人前で堂々と口にする気にならない。だってあやふやでインチキ臭いと思っちゃうから。想像してみてほしい。太田光が「これは、国際社会の常識ですよ」と言う姿を。まるで詐欺師だ。すかさずもう一人の私が自分に突っ込むだろう。「お前に国際社会の常識が解るのかよ?」と。そもそも「国際社会」とはどこのことだろう? 地図で指し示してほしい。「先進国」だろうか? 世界にはいろんな価値観の国がある。「国際社会の常識」を振りかざす行為は、もう一つの流行り言葉である「多様性」と矛盾しないのだろうか?(「四 国際社会」より)
「人はなぜ生きるの?」「戦争はなぜ起こるの?」「神様はいるの?」「別の神様を信じている人同士が殺し合うのはなぜ?」「原発は何が駄目なの?」「なぜ学校に行かなきゃいけないの?」......。これらの「問い」に明確に答えられる大人は一人もいない。私達大人自身がそれらの答えを求めて生き続けているからだ。生きるとは問い続けることだ。(「八 運動会とオリンピック」より)
言葉は凶器だ。たとえNGワードのものがあり、特定の言葉が使えない状態だったとしても、「正義」という意識の下、何の迷いもなく人を責め、追いつめる為に人間はあらゆる工夫をする。丁寧な書き方であってもいくらでもその人物の人格を否定することが出来る。あんなことをした人物なのだ、どれだけ責めてもいいだろう、どれだけ追いつめても足りない、と思い込んだ大勢の人間が、彼に向かって「言葉」という石を投げ続けてる。「反省しろ」「二度と自分の前に現れるな」「消えろ」と。「お前は人間じゃない」と。(「十一 時代の価値観」より)
映画は人を傷つける。文学も、絵画も、音楽も。落語も漫才もそうだ。人間の存在自体がそうなのだ。我々はいい加減理解するべきだ。人を傷つけずに生きていける人間などいないのだということを。それでも人間という存在は必要なのだということを。(「十四 ジョーカー」より)
私達は、「真実」を知ることなど出来ないという前提を今から持つ必要があると思う。「言葉」は「心理」を知る上での「ヒント」にしかならない。「憎しみ」と言葉で発したとしても、それは心理の全てを表せない。心理の断片でしかない。他に色んな「言葉に出来ないこと」が、人間の中に同時に存在している。人は言葉を一つ発する度に心理から遠ざかる。だからその言葉では足りない部分を補足しようとしてまた別の言葉を発する。それを何度も何度も繰り返して、それでも自分の全部を伝えることなど出来ない。(「二十一 参院選」より)
■目次
一 オワコン/二 変化/三 日米/四 国際社会/五 笑いと震災/六 伝える/七 祭り/八 運動会とオリンピック/九 混乱/十 団結/十一 時代の価値観/十二 立つ場所/十三 笑うことはできるかな/十四 ジョーカー/十五 日本人の心/十六 あとの祭り/十七 正義の味方/十八 桜・薔薇・ひまわり/十九 指導者と国と世代/二十 不思議の国の....../二十一 参院選/あとがき
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