(企画名)#木曜日は本曜日
2020年のデビュー小説『明け方の若者たち』が即重版、さらに映画化されるなど、人気を集めている作家・カツセマサヒコさん。本屋に行くのは好きだというが、なんと「好きな本屋さんに自分の本がだいたい置いてない」のだそう。
個人店の、すごいこだわりを持った"書脈"がある......選書をこだわってらっしゃるんだろうなっていう本屋さんこそ、カツセマサヒコは置かない。(笑)
自分の本が置かれていないところを見て、「俺もっと頑張ろう」と思うのだと語っている。
「週に1回、木曜日は街の本屋に足を運んでもらおう」と東京都書店商業組合が立ち上げたプロジェクト〈#木曜日は本曜日〉。現在、〈東京○○書店〉と題し、毎週木曜日に著名人・インフルエンサー・作家が「人生を変えた本」を紹介している。これまでに上白石萌音さん、佐久間宣行さん、岸田奈美さんらが登場した。
カツセさんは第9回に登場。多くの読者の心を掴むカツセ作品は、どんな読書遍歴から出来上がっているのだろうか。
カツセさんが1冊目に紹介したのは、宗田理さんの『ぼくらの七日間戦争』(KADOKAWA)。厳しい規律が敷かれた中学校で、1年生の主人公たちが大人に反旗を翻して廃工場に立てこもり、教師と戦うというストーリーだ。小学6年生~中学1年生の頃に本書を読み、大人への反抗のために仲間とバリケードを作るという設定に憧れを抱いて「仲間集めしたい!」と思ったのだという。
社会って立ち向かっていいんだなっていうこととか、大人って尊敬しなくていいんだなとか、そういうことを結構教えてくれていて。ある人にとっては(それを教えてくれたのが)ブルーハーツだったかもしれないんですけど、僕にとってはそれは宗田理だったんだなっていうのは割と思ってますね。
続いて2冊目に紹介したのは、伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングが地球を回す』(祥伝社)。特殊能力を持つ4人組強盗団が、思わぬ誤算で奪われた「売上」を奪還しようとするストーリーで、カツセさんはそのスピード感に「少年ジャンプよりおもしれぇじゃん」と衝撃を受けたという。
「いつか伊坂作品のような伏線の張り方をやってみたい」と語るカツセさん。自身の小説でも、気づいてもらいたいヒントをよくちりばめているそうだ。伊坂作品なしでは、今のカツセさんの小説はなかったのかもしれない。
3冊目に紹介したのは、金城一紀さんの『GO』(KADOKAWA)。「多分人生で一番繰り返し読んだ本」だと語る。在日韓国人の男子高校生が、偏見や差別を乗り越えて日本人の女子高校生と結ばれる青春ラブストーリーだが、カツセさんは描かれている在日韓国人の苦難にも胸を打たれつつ、主人公とヒロインの恋愛観や生き方そのものに特に刺激を受けたのだという。
「こんな男になりたい」「こんな彼女と恋がしたい」というふうにこじらせてしまったキッカケの本ですね(笑)。
作中で、主人公とヒロインが付き合っているのに苗字で呼び捨てし合うのに憧れて、カツセさんも自身の恋人と苗字で呼び捨てし合いたいと提案したことがあるそう。ところが、その恋人とは2ヶ月で別れてしまった......という苦い思い出が。「現実うまくいかねぇな」と自嘲しながらも、憧れの恋愛に目を輝かせていた。
動画後半で訪れたのは、東京都杉並区にある「サンブックス浜田山」。浜田山で育ったカツセさんが、子どもの頃から通っていた本屋だ。店の棚からにじみ出る「癖」には、大人になってから気づいたという。「人生を変えた本」10冊にも選んでいる社会学者・岸政彦さんの著書と、その関連書籍が並んだ棚を見て、「良い棚」とつぶやく。
この機会に、ほぼ話したことがないという店長とも話してみることに。すると、『明け方の若者たち』をカツセさんの母が大量に注文していたというエピソードが飛び出し......思わず赤面するカツセさんだった。
〈カツセさんの「人生を変えた本」10冊〉
『ぼくらの七日間戦争』宗田理(KADOKAWA)
『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎(祥伝社)
『GO』金城一紀(KADOKAWA)
『白いしるし』西加奈子(新潮社)
『死にたくなったら電話して』李龍徳(河出書房新社)
『池袋ウエストゲートパーク』石田衣良(文藝春秋)
『キスまでの距離』村山由佳(集英社)
『ボクたちはみんな大人になれなかった』燃え殻(新潮社)
『リリアン』岸政彦(新潮社)
『800』川島誠(KADOKAWA)
〈東京カツセマサヒコ書店〉は、10冊とも小説をチョイス。恋愛や青春を描いた作品が中心で、カツセ作品を形作ってきた要素がよく見えてくる。
〈東京○○書店〉は毎週木曜日に更新される。次回は誰が登場するのだろうか。
〈#木曜日は本曜日〉公式サイトはこちら。→https://honyoubi.com/
また、東京の各書店では〈#木曜日は本曜日〉オリジナルデザインのしおりを配布している。配布店舗の一覧はこちら。→https://honyoubi.com/assets/data/present_shoplist.pdf
■カツセマサヒコさんプロフィール
一般企業勤務を経て、2014年よりライターとして活動を開始。2020年刊行の小説家デビュー作『明け方の若者たち』(幻冬舎)が大ヒットを記録し、映画化。2021年にはロックバンドindigo la Endとのコラボレーション作品として二作目となる小説『夜行秘密』(双葉社)を刊行。東京FMでのラジオパーソナリティや雑誌連載など、活動は多岐にわたる。
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