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自宅の窓から見えるのは「いつものかんじで」ゾウにピラミッド。日本は...?

世界の家の窓から 77ヵ国201人の人生ストーリー

   シェアするのは、自宅の窓からの風景を写した写真1枚。そして、その状況を説明するコメント、たったこれだけ。人や食べ物は入れず、ただ自宅の窓からの眺めを写すのが投稿ルール。

   そんなサイト「VIEW FROM MY WINDOW(VFMW)」を見たことはあるだろうか。

   ベルギー人のグラフィック・デザイナー、バーバラ・デュリオさんが立ち上げたFacebookの公開グループであり、誰でも投稿を閲覧できるこのコンテンツ。それを書籍化した『世界の家の窓から 77ヵ国201人の人生ストーリー』(主婦の友社)が、2022年10月31日に発売された。

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   「VIEW FROM MY WINDOW」がスタートしたのは、2020年3月のこと。世界中の人々がステイホームせざるをえず、外出は控えて自宅から窓の外を眺めるしかない......というようなコロナ禍初期のころだ。

   家にいながら世界中の家の窓辺をオンラインで訪れることができると、欧米を中心に爆発的な人気に。わずか1か月で世界中から200万人以上が参加し、CNNやBBCなど海外メディアからの取材が殺到した。

   今回は、本書に掲載されている「家の窓からの風景」とそのコメントから、何気ない日常風景がなぜこれほどまで世界の人々の注目を集めたのか見ていきたい。

2月25日の朝、ウクライナの窓ガラス

   1枚目は、 Anastasiia Tykhaさんが2022年2月25日に投稿した写真。窓ガラスに、飛散防止のテープが貼られている。

   ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始したのが、24日のことだ。

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「ウクライナ、キーウ。2月25日の朝」

   続いて「VIEW FROM MY WINDOW」がスタートしてまもない2020年4月9日に、ボツワナのDeon Meyerさんが投稿した1枚。

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「世界の多くの国と同じく、この国もロックダウンされ、必要最低限のサービス以外のすべてが停止中。でも、うちの窓の外やポーチの向こうじゃ、動物や植物たちが普通に生きてます。ここ、アフリカの平原で何万年も続いてきた、いつものかんじで」

   「自宅の窓からの風景」という同じテーマでも、国・地域が変われば見える景色もまるで違う。ページをめくる度にそのカルチャーギャップに驚かされ、だんだん、世界一周をしているような不思議な気持ちになっていくのだ。

   こちらはイスラエルのhirel Kadambari Horovitzさんが同月20日に投稿した写真。

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「屋根のあるところに住めて、狭いながら空まで見えるなんて、俺は超ツイてる。そう、うちからは向かいの居間が中までよーく見えるし、その上、お向いさんのテレビも観られる。やつがテレビをつけてるときに限るけどね」

   隣のアパートのテレビを覗き見とは......! 雑然とした風景の中に、おおらかな人々の営みが見える。

   これは、同月28日にSteven J. Whitfieldさんがエジプトから投稿した1枚。

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「(前略)2008年、僕は自殺に失敗した。(中略)世界を旅して、知らない場所をこの目で見るのが夢だった。でもそのための努力は何もしなかった。何にも一生懸命になれなかった。幸せになる手段は金だけだと思い、金儲けばかり考えていた。でも、何もかもが空しく思え、続ける理由が何も見つけられなくなった。それで、自分を撃った。人生を台無しにした。家族は、歳を取りすぎてると嫌がる僕を大学に入れ直した。(中略)今日僕は、夢の家に引っ越した。西テキサスの砂漠の、両親がひどく若く、貧しい家の子供だった僕が夢見た家。世界中を旅することを願った子供の、夢の家。その夢が、今日かなった(後略)」

   最後は、この記事を読んでいる人にとって最も馴染み深いかもしれない風景だ。2021年12月8日に、Trần Thanh Thảoさんが日本の埼玉県から投稿した。

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「日本の埼玉より。
これがほんとにホントの、『私の窓からの眺め』。見えるのはレンガのタイルだけ。でも、この壁の向こう側には別の人生、別の物語があることを、私は知っています。私が住む東京近郊では、たいていの、本当に多くの部屋の眺めは、うちと似たようなものでしょう。皆さんがシェアしてくれた写真で、自分の視野を広げられることがとてもうれしく、感謝の気持ちでいます。皆さん、ありがとう!」

   ちなみに、都内在住である筆者の自宅も、窓からの眺めは似たようなものだ。

   本書は、国や地域で分類してそれぞれの投稿を掲載するのではなく、「ご近所の日常」「わが街」など、それぞれの写真を撮った人たちの生活風景やストーリーに思いを馳せられるような、写真ごとに共通していそうなテーマで分類されている。

   目次は、以下の通り。

「VIEW FROM MY WINDOW」について
日本版『世界の家の窓から』に寄せて

Chapter1 View From My Window 私の窓からの眺め
Chapter2 Animal Kingdom 窓辺の動物たち
Chapter3 Daily Life in My neigbourhood ご近所の日常
Chapter4 My Garden, My Sanctuary 私の庭へようこそ
Chapter5 Deserted Towns 人が消えた街で
Chapter6 My Hometown わが街
Chapter7 Out of the Pictures 私がこの窓を開けるまで
Chapter8 Tomorrow is Another day 夜から朝へ

MAP

   最初から順に、世界各国の「窓からの風景」を眺めるも良し、章タイトルで気になったパートから開いてみるのも良し。気軽に外出できない情勢の中でも、家の窓辺でページをめくりながら広い世界に目を向けたくなる1冊だ。


■バーバラ・デュリオさんプロフィール(監修)
ベルギーとオランダを拠点に活動するデザイナー。2020年3月、コロナウィルスが急拡大し、各国でロックダウンが始まる中でFacebookグループ「VIEW FROM MY WINDOW」を開設。アムステルダムのホームオフィスの窓から写した1枚の写真を投稿した。そこにしかなく、どこにでもある日常風景、添えられたコメントの味わい深いライフストーリーが共感と感動を呼び、欧米を中心に爆発的にシェアされる。1か月で200万人が登録し、2022年にはメンバーは317万人を突破。


(文 犬飼あゆむ/ライター)


※画像提供:主婦の友社


 
  • 書名 世界の家の窓から 77ヵ国201人の人生ストーリー
  • 監修・編集・著者名バーバラ・デュリオ 監修、主婦の友社 編
  • 出版社名主婦の友社
  • 出版年月日2022年10月31日
  • 定価1815円(税込)
  • 判型・ページ数A5判・256ページ
  • ISBN9784074522682

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