本を知る。本で知る。

BTSのRMも愛読。中学生から大人まで、「涙が止まらなくなる」感動小説。

ある日、僕が死にました

 「まだ旅立つはずもない年ごろで 花びらが舞い散るごとく消え去った すべての少年少女たちへ」――。

 イ・ギョンヘさん著、小笠原藤子さん訳の『ある日、僕が死にました』(KADOKAWA)は、親友を亡くした少女が遺された日記を手にしたことから始まる、喪失と再生の物語。

 2004年に韓国で刊行され、「涙が止まらなくなる」と話題のロングセラー。5か国で翻訳され、累計40万部を突破した。

 本作にまつわるエピソードを1つ、紹介しておこう。

 BTSのリーダー・RMさんが作詞作曲した「Always」(2017年)は本作からインスピレーションを受けたのでは、とファンの間で噂が広まったのだとか。韓国語版の帯には「BTSのRMさんが推薦した本」とあり、BTSファンからも長く愛されている作品だという。

日記に書かれた不吉な予言

 親友・ジェジュンがバイク事故で亡くなった。16歳だった。

 あれから2ヶ月。ユミはジェジュンの母親から呼び出され、1冊のノートを渡される。それは去年のクリスマスイブに、ユミがジェジュンにプレゼントした日記帳だった。

 最初のページには、こう書かれていた。「ある日、僕が死にました。僕の死は何を意味するのだろうか?」――。この続きはとても読めそうにないから、いちばんの仲良しだったユミに代わりに読んでもらえたら、と母親から頼まれる。

 「ある日、僕が死んだなんて、不吉な予言みたいなその言葉がまたも私の心臓を締めつけた。あの子はなんでこんなこと書いたの? ジェジュン、もしかして......?」

分かち合ってきたと思っていた

 中学2年生のときに転校してきたユミは、反抗的な態度で担任から目をつけられ、クラスにも馴染めずにいた。そんなユミに声をかけてきたのが、いかにも優しそうなジェジュンだった。

 「本当に勇敢だよ。あのさ......おれと友だちになってくれない? ただの友だち。彼氏とかじゃなくて」――。「馬鹿なこと言ってないで、早く失せてよ」などと邪険にしつつ、ユミはジェジュンに好感を持った。

 そのまま甘酸っぱい初恋に進展しそうなものだが、ユミとジェジュンの関係はそう単純ではない。それぞれに片思いの相手がいて、ふたりとも見事に振られ、それでクリスマスイブを一緒に過ごしたのだった。

 日記の続きを読むのは勇気がいることだったが、ユミはついにページをめくる。すると、1日目に「ある日、僕が死にました」の意味が書かれていた。

 「考え事はすべて私と分かち合ってきたと思っていたのに、こんな話は少しもしたことがなかった。ジェジュンも何かしら心に自分だけの秘密を抱えたかったのかな」

あんたの居場所は、心の中に

 ジェジュンの生前、日記、ジェジュンの死後。これらを行ったり来たりしながら、ジェジュンがいなくなった現実を、死の意味を、ユミなりに理解しようとする。大切な人の死に直面した10代少女のストレートな思いが溢れ出る。

 「私たちには無限の未来が開かれていたのに、こんなにむごたらしい運命のいたずらで、そのシーンは台無しにされてしまったんだ。また胸の内から炎のような怒りがこみ上げてきた」

 印象に残っているのが、もしユミと片思いの相手が同時に溺れたら、ジェジュンはどちらを助けるのか、という一節。

 ジェジュンの答えは、「一瞬の迷いもなくユミを助けるだろう」。それはユミも同じだった。それなのに「ただの友だち」とは不思議だが、「恋人」ではくくれない特別な関係も、あるのかもしれない。

 「あまりにも特別な存在だよ、死んでも忘れられない、ある男性に愛情を感じて恋に落ちたとしても、あんたの居場所は、わたしの心の中にいつだって変わらずあるはず......。そう、あんたもそのはず」
book_20220712225547.jpg

 本作が生まれたきっかけは、著者が2001年、ある少年が命を失ったというニュースを耳にしたこと。まったく知らない少年だったのに、彼の死に号泣し、若くして亡くなった少年少女たちのことを思い、書き進めたという。

 「この物語は私たちのどの年齢にも無関係ではない死と喪失の物語であり、またそれをどうにか耐えながら生きていかなくてはならない私たちみんなの人生の物語です」

■イ・ギョンヘさんプロフィール
 チンジュで生まれソウルで育つ。幼い頃、部屋で多くの本を読んでいた経験から、小説家になる。韓国外国語大学校フランス語教育科を卒業し、1992年文化日報新春文芸中編小説部門に『過去巡礼』が入選して文芸活動を始め、2001年『最後のコウモリ姫ミガヤ』で子供単行本部門韓国百想出版文化賞を受賞した。同年『うちの先生は最高だ!』でSBSメディア大賞絵本翻訳部門に選ばれた。絵本から小説まで多様な文章を書き、フランス語と英語の本を韓国語に訳す仕事をしている。

■小笠原藤子さんプロフィール
 上智大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻「文学修士」。現在、慶應義塾大学・國學院大學ほか、ドイツ語非常勤講師。訳書に『私が望むことを私もわからないとき 見失った自分を探し出す人生の文章』『今日笑えればいいね 心向くまま自分らしく生きることにした』(ともにワニブックス)、『自分にかけたい言葉 ~ありがとう~』(講談社)、『+1cmLIFE たった1cmの差があなたの未来をがらりと変える』(文響社)などがある。


※画像提供:KADOKAWA



 


  • 書名 ある日、僕が死にました
  • 監修・編集・著者名イ・ギョンヘ 著、小笠原 藤子 訳
  • 出版社名KADOKAWA
  • 出版年月日2022年4月 4日
  • 定価1,540円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・192ページ
  • ISBN9784046813015

オンライン書店で詳しく見る(購入もできます)

小説の一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!

おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

出版社の皆様!

御社の書籍も、
BOOKウォッチに
掲載してみませんか?