本を知る。本で知る。

「ちょっとまぶしいから太陽へらして」4歳児の発想が悶絶級に愛おしい。子育て経験者に激推し!エッセイ

ぼくらは人間修行中

   累計40万部突破の『最後の秘境 東京藝大 ――天才たちのカオスな日常』の刊行後、二宮敦人さんはふたりの男の子のお父さんになった。現在では、元東京藝大生の奥様と家族4人で暮らしている。

book_20220704144312.jpg

   新刊『ぼくらは人間修行中――はんぶん人間、はんぶんおさる。』(新潮社)では、子どもたちとのカオスな日々が綴られている。

僕は人間のことを知っているつもりで全然知らなかった

   「ぼくね、砂が30個あったら、パソコン作れちゃうんだよねえ」「おとうさんのおしりは落ちつくなぁ」「おとうさん、すきなうんこの色、何色?」などクスリと笑える名言がたっぷり。

book_20220704144336.jpg

   記録魔の小説家が、天然成分100%の妻、かわいすぎる4歳児ちんたん、豆粒のような0歳児タッとともに歩むのは「人間への道」。「おさる」レベルの子どもたちを人間に近づけるべく奮闘している二宮さんは、ときどきふと、そんな自分に疑念を抱く。

<寝っ転がってポテトチップスを食べている長男に「それはお行儀が悪いよ」と注意しました。しかしそんな僕は今、膝に三男を寝っ転がらせて、哺乳瓶から食事をさせているのです。あれ、こっちの方がお行儀悪くないか? そもそもお行儀って何? 混乱し始める僕をよそに長男は素直に座り直し、三男は満足げに白目を剥いて眠りに落ちていきます。彼らと過ごしていると常々思うのです、僕は人間のことを知っているつもりで全然知らなかったのだと。そんな日々を記録し、整理し、言語化するのは幸せな経験でした。機会に心より感謝し、今日も張り切って修行してまいります>(二宮さんコメント)
book_20220704144356.jpg

おさるのままでいいんじゃない?

   当初、4歳児だったちんたんは、本書の中で6歳に。「てきにたべられないように、おおきくなりたい」と願い続けて、苦手なピーマンをひとかけら口にできるまでに成長する。そして、豆粒のようだった0歳児タッは2歳になり、浴槽のふちにコップを並べてお風呂のお湯を何度も味わう「湯船のソムリエ」へと成長。悶絶級に愛おしい子どもたちと過ごした濃密な2年間が、ぎゅっと詰まっている。

   連載中から多くのパパ・ママ経験者の支持を得てきた本作。エッセイストの紫原明子さんも、ファンの一人だ。

<親は子を見て育つ。そのいちばん誠実で温かい見方、育ち方が、この本の中に書かれています。読み終えてからというもの、会う人会う人にこの本の話をしてしまいます。
この本の中で二宮先生が、親として子に「人間はこうあるべき」と思われるとき、そこには常に「本当にそう?」という疑いがセットになっていて、果ては「おさるのままでいいんじゃない?」という域にまで到達されて、もうなんて、なんて誠実なんだろうと感激しました。私の子供はもう20歳と17歳ですが、改めて思えば現在の子供たちにも、また私自身にも、文明の世界とおさるの世界の葛藤が続いています。つくづく仰るとおり、私たちは人間修行中だなあと思います。
生まれたばかりの子供に自動的に「人間」という服を着せるのでなく、また親である自分も親になった直後に「親」という服を着るのでなく、最初にはどちらも違和感があって、でもそこで過ごす時間を積み重ねる中で、いつしか自然と子供自身が人間に、自分自身が親になっていく。さらにはその過程で親もまた「人間」を学んでいく。子育てって本当にこういうものだなあと感じるし、こうありたいなあと思ってきました。
私にとってあまりにも大切な一冊になってしまったので、これから親になる友人には必ずこの本をプレゼントしたいと思いますし、どうかたくさんの人に読まれてほしいと心から願っています>(紫原さんコメント)
book_20220704144419.jpg

   ほかにも、「(赤ちゃん時代の)懐かしさ、同意、驚き、笑い、全てを兼ね備えつつ、最後に人間とは何か?という究極の問いへの答えも教えてくれる、まるで笑いを兼ね備えた哲学書のよう」「エッセイってこんなに優しい空気感出せるんですね。文字を読んでるのに、コミックエッセイや絵本を読んでいる気持ちです。癒される......」「夫婦のとぼけた(本人たちは大真面目な)会話が素敵で、お二人が子どもたちにめちゃくちゃに怒ることはあるのかな...。私は昨日、寝かしつけてから1時間半寝なくて、大人気なくブチ切れました。。私も人間修行中です」といった、共感の声が寄せられている。

   まだ7月だが、「ベスト子育てエッセイ大賞2022」があるとすれば、ノミネートすること間違いなし。遠い昔に子育てを経験した方にも、今まさに寝ない我が子にイライラしている方にも、これからパパ・ママになる方にも、激推しの一冊。


※画像提供:新潮社


  • 書名 ぼくらは人間修行中
  • サブタイトルはんぶん人間、はんぶんおさる。
  • 監修・編集・著者名二宮敦人 著
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2022年7月14日
  • 定価1595円(税込)
  • 判型・ページ数240ページ
  • ISBN9784103502937

エッセイの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?