ヴァネッサ、寄宿学校に通う15歳。彼女は42歳の教師・ストレインの"恋人"だった。ところが17年後、ストレインを告発するという女性が現れる。
「これはラブストーリーじゃないといけないの。だって、そうじゃないなら──」
ケイト・エリザベス・ラッセルさんのデビュー小説『My Dark Vanessa』は、アメリカで出版後すぐにベストセラーとなり、多くの新聞や雑誌でレビューが掲載されている。世界32ヶ国で翻訳されている本作の日本語訳版が、2022年5月9日に『ダーク・ヴァネッサ』(河出書房新社)として発売される。
過去さまざまな作品で描かれてきた「少女と教師の禁断の愛」というテーマの欺瞞を打ち砕く、「#MeToo」時代の注目作だ。
読むのがつらく、読むのをやめるのはもっとつらい。ダイナマイトの威力を持った小説。
──スティーヴン・キング
完璧な被害者や、性的虐待への完璧な対応など存在しないということが、ラッセルが書いた驚くべき作品の核心にある。
──ELLE
17年前、ヴァネッサは教師と「秘密の恋」をした。それから17年後、#MeTooムーブメントのさなかで、ストレインを未成年者への性的虐待で訴えるという女性が現れる。「私は彼女とは違う」そうヴァネッサは自分に言い聞かせる。しかし、歪められた記憶の底からは残酷な真相が浮かび上がってくる。
洋書書評家・翻訳家の渡辺由佳里さんは、原書『My Dark Vanessa』について以下のように評している。
My Dark Vanessaの優れたところは、年上の男性から性的虐待のターゲットにされた若い女性が陥る心理的な罠を見事に描いているところだ。加害者は、被害者に「これは君が自由意志で選んだことだ」「私にとって君だけは特別の関係だ」と信じさせる。いわゆるガスライティングである。被害者はそのために加害者を責めることができなくなり、その心理的な傷によって人生を破壊され続ける。
#MeTooの議論を、これまでとは違った視点からとらえる問題作。日本国内でも、芸能関係者などの性的虐待の告発が後を絶たない。今、すべての人に読まれるべき作品が、ついに日本にもやってくる。
■ケイト・エリザベス・ラッセルさんプロフィール
アメリカ・メイン州で育ち、インディアナ大学で修士号、カンザス大学で博士号取得。
本書『My Dark Vanessa』がデビュー作で、2020年3月の出版前からさまざまなメディアで"2020年にもっとも待ち望まれる新刊本"として取りあげられる。
■訳者・中谷友紀子 (なかたに・ゆきこ)さんプロフィール
神奈川県生まれ。京都大学法学部卒業。ミステリ小説の翻訳を中心に手がける。主な訳書にG・フリン『冥闇』『ゴーン・ガール』、J・イーガン『マンハッタン・ビーチ』などがある。
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