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川村元気+こんまり。すこし不思議な、7つの部屋物語。

おしゃべりな部屋

 「わたしにはモノの声が聞こえる――」

 本書『おしゃべりな部屋』(中央公論新社)は、「こんまり」こと近藤麻理恵さんが片づけてきた1000以上の部屋にまつわる実話をもとに、川村元気さんが紡ぐ7つの部屋の物語。

 絵本作家・大桃洋祐さんのカラーイラストを40点以上収載。小説、片づけ本、絵本が合体したような新感覚の1冊だ。本作は読売新聞連載時(2020年10月から2021年4月)から話題を呼び、加筆修正のうえ、このたび単行本化された。

 ミコは、依頼された家の"片づけ"を手伝う仕事をしている。部屋の数だけ、そこに暮らす人と、おしゃべりなモノたちとの思い出がある。これは彼女が体験した、すこし不思議な7つの部屋にまつわる物語。

モノの声が聞こえてしまう

 ミコには秘密がある。それは「部屋にある、モノの声が聞こえてしまう」こと。服や靴、本や家具がみな、話しかけてくるのだ。

 そんなミコの相棒は、おしゃべりな小箱「ボクス」。蓋をぱかぱかと動かしながら、ミコにも依頼人にもつっこんだり悪態をついたりする(「ボクス」の声は依頼人には聞こえない)。

 「おしゃべりな部屋」とはどんな意味かと思ったが、ミコの「モノの声が聞こえてしまう」能力から来ていたのだ。

 「部屋は、おしゃべりだ。住人の自己紹介以上に、雄弁にその人を語る。怒っていたり、泣いていたり、笑っていたり、あくびをしている部屋もある。わたしは、依頼者がときめくものに囲まれた理想の暮らしを送るために、部屋にあるモノたちの声を聞きながら、片づけを手伝っていく」

 本書は「ROOM1 ささやくクローゼット」「ROOM2 歌う書斎」「ROOM3 喧嘩するキッチン」「ROOM4 無口な子供部屋」「ROOM5 おしゃべりな小箱」「ROOM6 騒がしいゴミ屋敷」「ROOM7 物語るアルバム」の構成。

 服を手放せない主婦、本を捨てられない新聞記者、なんでも溜め込んでしまう夫婦、好きなものが見つけられない少女、捨てるのが怖くてモノに埋もれて暮らす男性、死の間際に片づけを決意する老婦人......。ミコは彼らの家を1軒ずつ訪ねていく。

ときめきで残すものを選ぶ

 「ROOM1 ささやくクローゼット」の依頼人・藍沢真由子の部屋には、脱ぎ散らかされた服が、海岸に打ち上げられた漂着物のように重なり合っている。ミコは真由子に最初のミッションを伝えた。「初めに、服をすべて出してください」。

 次に、服の山から「残すもの」と「手放すもの」を選ぶ。基準は「ときめく」かどうか。そう、こんまり流「ときめき片づけ」である。

 「一箇所に集めたモノをひとつひとつ手にとって触れ、ときめくものは残し、ときめかないものは手放す。そうやって決めていけば、必要なものだけが残る。本来、片づけで選ぶものは捨てるものではなく残すもの。持っていてときめくもの、幸せを感じるものだけを残し、それ以外を手放すことが片づけの第一歩なのだ」

 "若く見える服"や"昔は似合っていた服"ばかりを買っていて、真由子は"今のわたしに似合う服"を持っていなかった。それには夫との関係が影響していて......。

今向き合って時を前に進める

 「ROOM6 騒がしいゴミ屋敷」は、どこから手をつけたらいいのかわからないレベルのモノの多さ。そこでミコは依頼人・黄瀬満也に言った。「人がモノを捨てられない理由は、ふたつしかありません」と。

 「過去に対する執着か、未来に対する不安です。そしてモノに対してわたしたちが選べる道は三つ。今向き合うか、いつか取り組むか、死ぬまで見て見ぬふりをするか。わたしは、今向き合って時を前に進めることをおすすめします」

 巻末にある、「もっとも大切な五つのステップ」と「心に留めたい、言葉の数々」をまとめた「ミコのお片づけノート」も必見。

 「Step1 『理想の暮らし』を考える」「Step2 『モノ別』に片づける」「Step3 触れた瞬間に『ときめき』を感じるかどうかで判断する」「Step4 正しい順番で片づける(衣類→本類→書類→小物類→思い出の品)」「Step5 家にある『あらゆるモノの定位置』を決める」の5つのステップを覚えておこう。

 「片づけとは、人生をドラマチックに変えてくれる魔法」――。片づけにまつわる金言が本書のあちこちに転がっている。モノを、片づけをこんなふうに考えたことなかった! という発見の連続。部屋やモノから泣き声やあくびが聞こえてきそうな人におすすめ。


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■川村元気さんプロフィール
 1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米『The Hollywood Reporter』誌の「Next Generation Asia」に選出され、11年には「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年、初小説『世界から猫が消えたなら』を発表し、世界23か国で出版された。18年、初監督作品『どちらを』が第71回カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門に選出される。他著に小説『億男』『四月になれば彼女は』『神曲』、対話集『仕事。』『理系。』、翻訳を手がけた『ぼく モグラ キツネ 馬』など。22年9月、原作・脚本・監督を務める映画『百花』(主演:菅田将暉、原田美枝子)が公開予定。

■近藤麻理恵さんプロフィール
 片づけコンサルタント。幼少期から片づけの研究を始め、独自の片づけ法「こんまり(R)メソッド」を編み出す。2010年に出版した著書『人生がときめく片づけの魔法』が世界40か国以上で翻訳され、1300万部を超える世界的大ベストセラーに。15年、米『TIME』誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出。Netflixに冠番組を持ち、当番組はエミー賞2部門にノミネートされた。他著に『人生がときめく片づけの魔法2』『人生がときめく魔法の片づけノート』、『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』(共著)など。片づけとときめきのセンスを磨けるゲーム『KonMari Spark Joy!』も全世界で発売中。


※画像提供:中央公論新社



 


  • 書名 おしゃべりな部屋
  • 監修・編集・著者名川村 元気、近藤 麻理恵 著
  • 出版社名中央公論新社
  • 出版年月日2022年3月10日
  • 定価1,760円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・224ページ
  • ISBN9784120055102

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