学校教育だけでなく、コロナ禍の自粛警察など、日本の社会では今、 「道徳的に正しいかどうか」 でジャッジする傾向が強くなっている。では、「道徳とは何か?」と問われたら、あなたは何と答える――?
長らく「教科外」の特設時間として、学校の時間割にあった「道徳」。2018年~2019年、「特別の教科」という扱いで、国語や算数と同じ「教科」になった。なぜ今、日本の道徳は「教科」になったのか。
ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞し、二宮和也主演のドラマも話題となった 『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』(新潮社) や、 6月に綾瀬はるかさん・長谷川博己さん主演の映画が公開される 『はい、泳げません』 (新潮社)など、数々のヒット作を生んできたノンフィクション作家・髙橋秀実さんが、「ニッポンの道徳」の今を読み解いた。その内容は、道徳教育の現場を皮切りに、地球温暖化、大ヒット映画、恋愛、シェアリング、AI、政治、ハラスメントなど、あらゆる社会問題や現象に渡る。髙橋さん独自の視点から、ニッポンを見てみよう。
【目次】
1限目 50年ぶりの教科書
よりよく生きる?/わたしの よい ところ/公平に接する気持ち/ヘンな国のヘンな教科
2限目 みんなで「自分」
〇か△か、なら答えられる/なぜ「なぜ」ですか?/「みんな」の創出/羽生選手が見本
3限目 「だから」の気持ち
リズムと調べ/ゲームと同じ/規則性を見抜く
4限目 ちょっと努力している
「すごい」ということ/麻痺させる毒薬
5限目 カチカチなファンタジー
ダブルスタンダードができない/耳障りな発言/「気持ち」原理主義/「われら」が正義/いずれにせよ道徳的偽善
6限目 うらみハラスメント
怒ってはいけない/被害の多重性/「パワハラ」で元気になる
7限目 悪口を言ったのは誰なのか
被害者の覚醒/イヤミスの応酬/幸福が仇となる
8限目 ビジネスのバイブス
損もシェアする/グッド・バイブス/過疎地でウーバー/近くて遠いライド・シェア/ちょっと停まります
9限目 アイ・ラブ・ちゅーりーちゃん
人間より優しい/ロボットも間主観/東大には入れない/悪魔のしわざ/過去への適応
10限目 道徳的な現実
魂が奪われる/現実はつくりもの/夢のファーストクラス?/自分はどこに?/「存在」が不在
11限目 はじめてのスマートフォン
楽しむ器/どんどんタップ/何でもかんでもアプリ化/間主観性のツール
12限目 リアルと共感
「好き」より「合う」/自分に恋する/不可能な恋愛
13限目 セックスしないふたり
官能のゆくえ/きちんと楽しく/しぼみゆく男根
14限目 エコバッグ黙示録
法律で行動変容/急ぐから善/パニックに陥れ
15限目 あなたは「いい人」ですか?
いい人、いいことづくめ/みんな観てるNHK/一般意志の支配/聖徳太子の心/主語の暴走
■髙橋秀実 (たかはし・ひでみね)さんプロフィール
1961年横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経て、ノンフィクション作家に。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第23回ミズノ スポーツライター賞優秀賞を受賞。その他の著書に『TOKYO外国人裁判』『ゴングまであと30秒』『素晴らしきラジオ体操』『からくり民主主義』『トラウマの国ニッポン』『はい、泳げません』『趣味は何ですか?』『おすもうさん』『損したくないニッポン人』『不明解日本語辞典』『やせれば美人』『人生はマナーでできている』『日本男子♂余れるところ』『定年入門 イキイキしなくちゃダメですか』『悩む人 人生相談のフィロソフィー』『パワースポットはここですね』『一生勝負 マスターズ・オブ・ライフ』など。
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