何にも乱されず、凛として穏やか。そんな内面をつくってくれるのが、茶道だ。しんとした空間で、相手のことだけを思ってお茶を点てる。その心得と礼儀作法が、美しい心を育ててくれる。
さらには、生活習慣・所作・コミュニケーション力・「和」の知識・健康などなど......お茶は、私たちにさまざまなよいことをもたらしてくれるのだ。
でも、茶道ってなんだか敷居が高そう......。そんなあなたにおすすめしたいのが、『「お茶」を学ぶ人だけが知っている凛として美しい内面の磨き方』(実務教育出版)。裏千家茶道家の竹田理絵さんが、心を育てる茶道の本質を、ていねいにわかりやすく教えてくれる。
ここでは特別に、第1章全文を11回の連載形式でご紹介する。最終第11回は、「真心」について。茶道における「真心」の意味を考えていく。
1回目から読む
(以下、本文より)
真心で接する ――表裏がない心になる
よく真心が大切、と言われますが、「真心で人に接する」とは、どのようなことでしょうか。
私は「この人に尽くそう、という純粋な気持ちで人に接すること」だと思います。
茶道では、お客様に一碗のお抹茶を美味しく召し上がっていただくために、真心を込めてお茶を点てます。
お客様に気持ちよく過ごしていただけるよう、茶室は綺麗に掃除して、花入れにお花を入れ、お香を焚き、季節の和菓子を準備して、丁寧にお抹茶を点てます。
「究極のおもてなしは茶道にある」といわれます。また、表裏ない心で接する=おもてうらなし=おもてなしとなったといわれています。
真心、表裏がない心を養う方法のひとつに、茶道があります。
人と接する時は、自分の利害だけでなく、相手のことを考えることで真心が相手にもきちんと伝わり、表裏のない心で人と付き合えるようになるのです。
日本人には無宗教の方が多いですが、外国人はほとんどの人が何かしらの宗教を持っています。熱心な方は教会などに通い、神様のもと、心を磨いています。
ある時、クリスチャンの海外のお客様が茶道体験をされて、「躙り口は聖書の『狭き門から入れ』という言葉に通じますし、濃茶の回し飲みはミサの聖杯でのぶどう酒の飲み回しを思い出します」とおっしゃるのを聞き、とても興味深く感じました。
利休の頃はキリシタン大名が多くいた時代で、利休の妻や娘もキリシタンだったといわれています。「心を磨く」という意味で、キリスト教の良い所を取り入れたのかもしれません。
■竹田理絵(たけだ・りえ)さんプロフィール
茶道家(裏千家教授)、株式会社茶禅代表取締役。
神楽坂生まれの三代目江戸っ子。青山学院大学文学部卒業後、日本IBMに入社。日本の伝統文化の素晴らしさを伝えるため、退社後、株式会社茶禅を設立。銀座と浅草に、敷居は低いが本格的な茶道を体験できる茶室を開設する。世界30ヵ国の人々に日本の伝統文化を伝え、のべ生徒数は3万人超。また、10ヵ国以上の国々に赴き、さまざまな場所で茶道の点前を披露してきた。2017年、ブルネイ国王即位50周年時にブルネイにて茶会を披露。各国首相や大使館、官庁、VIP、一部上場企業からの信頼も厚く、お茶会を多数実施。千利休から学ぶビジネス研修は経営者が注目し、企業研修にも取り入れられている。ハーバード大学等、茶道を取り入れた教育・教養研修実績多数。初めての著書『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)は3.3万部を超えるベストセラーになった。
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