急速に感染が拡大している、新型コロナウイルスオミクロン株。感染力が強い一方で、軽症者が増え「それほど怖れることはない」との声も。しかし、確実に死者や重症者は出る。また医療機関がひっ迫し、多くの感染者が自宅や宿泊施設での療養となる。
自分の身は自分で守る必要がある、オミクロン株の流行。オミクロン株とはどのようなウイルスなのか、感染しないためには、感染してしまったときの対応など、オミクロン株のすべてがわかる対策本『新型コロナウイルス 「オミクロン株」完全対策BOOK』を宝島社が出版した。監修は、テレビ番組でコメンテーターとしても活躍中の、国際医療福祉大学医学部感染症学主任教授・松本哲哉さんだ。
以下、本書の内容を一部ご紹介する。
〈感染対策〉
3回目のワクチン接種はしたほうがよい
オミクロン株に対しては、ワクチンの抗体の効果自体は、今までのウイルスに対してよりも効果が下がる。しかし、抗体の効果が下がったとしても、追加接種で全体の抗体量が増えれば重症化を予防する効果は期待できるとの見方を、専門家の多くが示している。今できるだけ抗体を高めておくのは意義が大きいという考え方が主流だ。
「3密」でなくても感染しやすい場所はある
密閉、密集、密接の「3密」がそろっていなくても、感染しやすい場所がある。
・屋外でのキャンプ
(マスクをせずに近い距離で騒いだ場合)
・野外スポーツ観戦
(風がない状態)
・野外音楽フェス
(客同士が密着し、呼吸も深いため、特に感染リスクが高い)
ひとつでも「密」があれば感染の可能性があるため、注意したい。
〈感染したかもと思ったら〉
インフルとコロナの二重感染「フルロナ」の症状と対策は?
インフルエンザと新型コロナの二重感染、通称「フルロナ」(非公式名)は、アメリカやブラジルなどで感染事例が出ている。アメリカのメディアは「症状がより強くなる可能性はあるが報告例のほとんどは軽い。ただし基礎疾患のある人は重症化リスクに注意」といった専門家の声を伝えている。2つのウイルスが合体することや致死率に影響が及ぶことはなく、コロナのみの感染と同様の注意で十分なようだ。
発症前後2日間が危険! ウイルスをばらまいてしまう
オミクロン株の潜伏期間は約3日で、発症の前後2日はもっともウイルスをばらまく危険性が高い。つまり、ごく軽症の場合、発症しているのに気づかずウイルスをばらまいてしまうかもしれない。感染しているかもと思ったら、外出や家族との接触を控え、すぐに電話でかかりつけ医に相談してほしい。
〈自宅療養〉
自宅療養が終わるのはいつなの?
オミクロン株に感染し、自宅療養となった場合、療養の期間は、症状が出現してから10日間プラス発熱や咳などの主な症状が軽快して3日間となっている。症状がある場合でも、7日目までに症状が軽快すれば、10日間で療養を終えることができる。自宅療養の日数を知っておくと、食料や日用品の備蓄に見当をつけられて安心だ。
オミクロン株でも回復後の後遺症はあるの?
これまで、新型コロナウイルスは後遺症も問題となってきた。オミクロン株の後遺症についてはまだ調査が始まったばかりだが、今までのウイルスと同様、倦怠感・頭痛・脳の霧(記憶力と集中力の低下)が感染者の50%に確認されている。後遺症はまだ明確な診断法や治療法がないのが現状だが、ワクチン接種者のほうが頻度が低いと言われている。
■松本哲哉(まつもと・てつや)さんプロフィール
1962年生まれ。医学博士。国際医療福祉大学医学部感染症学教授。日本感染症学会認定指導医・感染症専門医。長崎大学医学部卒。東邦大学医学部微生物学講師、米国ハーバード大学ブリガム&ウィメンズホスピタルリサーチフェロー、東京医科大学微生物学分野主任教授などを経て現職。日本化学療法学会理事長、日本環境感染学会副理事長、日本臨床微生物学会監事、日本感染症学会評議員などを務める。著書に『新型インフルエンザ救急ブック』(アスキー新書)、監修書(一部執筆)に『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)などがある。
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