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サメはペニスが2本!? 生き物たちの知られざる"性"事情

生き物たちの「かわいくない」世界

 性的な衝動。それは最も強く、動物を突き動かすもの。動物は、種の保存のために"生存"だけでなく"繁殖"をしなければならないからだ。どんなにかわいい犬や猫でも、オスならペニスがぶら下がっている。

 イタリアの生物学者のヴィンチェンツォ・ヴェヌートさんによる、動物たちの"性"と"社会"をテーマにした人気ポッドキャスト番組が、『生き物たちの「かわいくない」世界 動物行動学で読み解く、進化と性淘汰』(ハーパーコリンズ・ジャパン)として書籍化された。訳は安野亜矢子さん。いったいどんな生き物たちが、どんな「かわいくない」性生活を営んでいるのだろうか。


ペニスを2本持つサメ

 魚類の受精は、メスが産んだ卵にペニスを持たないオスが精子を振りかける場合が多い。しかし、たとえばサメのように、ペニスを持つ魚類もいる。しかも、大型のサメのオスはどれもペニスを2本持っているのだ。

 サケなど大量の卵を産む種と違い、サメはほんの少ししか卵を作らない。確実に受精させるために、ペニスが重要なのだ。しかも、絶え間ない海流の中での交尾は簡単ではない。だからサメのオスは、1回の交尾に1本しか使わないペニスを2本も持っている。さらに付け加えると、サメのオスは手足を持たないため、交尾の際にメスをしっかり捕まえておこうと、メスの背ビレと胸ビレを歯で噛むのだ。そのためサメのメスの背中の皮膚は、オスよりもはるかに厚くできている。自然界の性生活は、私たちが想像するよりかなりハードなようだ。


決闘するアカシカのオス

アカシカのメスは、最高の遺伝子を持つオスを"凶暴性"で見分ける。繁殖期がやってくると、オスはテストステロンのにおいのする尿をまき散らし、鳴き声の響きで体の大きさをアピールする。角は大きく硬く鋭く、凶器と化している。オスたちは互いに牽制し合い、どちらも引き下がらないと見るや、その角で戦いを始める。鋭い角を相手に突き刺そうと、正面からぶつかり合う死闘。どちらかが逃げ出すと、メスたちは負けたオスには見向きもせず、勝ったオスとハーレムを作る。シビアで暴力的だ。全然かわいくない。


ヒトだってかわいくない

 ほかにも、浮気をする鳥やメスを拉致するイルカなど、とてもかわいいとは言えない生態が次々と紹介される。どの生き物にも、各々の事情があるのだ。しかも、本書で紹介されているのはジャングルやサバンナや海中の動物たちだけではない。ヒトの性と社会も、他の動物たちと同様に取り上げられている。

 鳥の浮気と比べて、ヒトはどれくらい浮気をしている? ヒトの社会制度は一夫一妻制がほとんどだが、ヒトを生物学的に見ると実は一夫多妻制だった? 他人ならぬ他動物のことをとやかく言えないほど、ヒトの「かわいくない」ところも存分に暴かれているので、そちらも楽しみにしてほしい。

 一風変わった、オトナな視点の生物学。他では知ることのできない生き物たちの事実が盛りだくさんだ。読むときはくれぐれも、ペットにバレないよう気をつけて。

■ヴィンチェンツォ・ヴェヌートさんプロフィール
 1965年ミラノ生まれ。生物学者。ミラノ大学で自然科学と環境科学を学び博士号を取得。主にオウムのコミュニケーションの研究に10年間取り組んだ後、2000年にテレビの世界へ。"Alive - Storie disopravvissuti (アライブ - 生存者の物語)""Life -Uomo e Natura (ライフ - 人と自然)"など、数々のドキュメンタリー番組の司会者を務める。本書はシリーズ累計30万回以上聴取された同名の人気ポッドキャストの内容を加筆し書籍化したもの。


※画像提供:ハーパーコリンズ・ジャパン


  
  • 書名 生き物たちの「かわいくない」世界
  • サブタイトル動物行動学で読み解く、進化と性淘汰
  • 監修・編集・著者名ヴィンチェンツォ・ヴェヌート 著 安野 亜矢子 訳
  • 出版社名ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 出版年月日2021年12月10日
  • 定価1980円(税込)
  • 判型・ページ数四六並製・320ページ
  • ISBN9784596017116

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