"イヤミス"の女王・湊かなえさんのデビュー10周年記念作品『未来』(双葉社)。大好評につき、文庫判の重版が決まった。重版分には、湊さんのファンを公言している乃木坂46の高山一実さんのコメントが入った帯がつく。
衝撃のデビュー作『告白』から10年。湊かなえ作品がまたも新境地へ。『未来』のストーリーは、主人公の少女・章子に届いた一通の手紙から動き出す。
10歳の章子へ
こんにちは、章子。わたしは20年後のあなた、30歳の章子です。
つまり、これは未来からの手紙。あなたはきっと、これはだれかのいたずらではないかと思っているはず。大好きなお父さん(あなたはパパとよんでいましたね)をなくしたばかりのわたしをからかうなんてひどい、とおこっているかもしれません。
しかし、これは本物の未来からの手紙なのです。
物語は章子の視点から始まり、友人、先生、父親と視点が移り変わって、だんだんと手紙の真相が明らかになっていく。湊さんの得意のスタイルだ。
後味の嫌なミステリ="イヤミス"と称される湊作品のなかでも、『未来』はとりわけテーマが暗く重い。この作品で湊さんが描いたのは、子どもたちを取り巻く社会問題。章子は父親を亡くし、母親も精神的な問題を抱えており、子どもでありながら保護者のような役割を強いられている。作中には他にも、虐待、いじめ、不登校、AV出演の強要など、さまざまな社会問題が登場する。そんな苦しい状況下にある子どもに、なぜ「未来からの手紙」が届いたのか。
「つらい状況にある女の子に、幸せで余裕のある人が手を差し伸べる」という単純な話ではなく、同じように苦しみをもつ人たちが、影響しあいながら一緒に前を向いていくような話にしたいと思いました。
(著者インタビューより)
10年間の執筆活動の集大成であり、湊さんの新たなる章の幕開けでもある『未来』。進化しつづける湊かなえという作家から、今後も目が離せない。
■湊(みなと)かなえさんプロフィール
1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録した『告白』は「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、09年には第6回本屋大賞を受賞。また14年には、アメリカ「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙のミステリーベスト10に、15年には全米図書館協会アレックス賞に選ばれた。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞を受賞。18年『贖罪』がエドガー賞〈ペーパーバック・オリジナル部門〉にノミネートされた。
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