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眞子さまは結婚一時金だけで「品位ある生活」を維持できるだろうか?

天皇家の家計簿

 秋篠宮家の長女・眞子さまの結婚問題が国民の関心を集めている。内親王である眞子さまが結婚される際には、1億5250万円を上限とする一時金が支給されることなどが報道され、賛否の議論がヒートアップした格好だ。国民の税金を原資に支えられている皇族たちの日々の暮らし、衣食住、生活実態を徹底調査し、収入と支出に迫ったのが、本書『天皇家の家計簿』(宝島社新書)である。

 著者は宝島社皇室取材班。情報公開には消極的とされる宮内庁だが、近年はさまざまな形で皇室関連の情報が明らかにされるようになった。公開情報に加え、さまざまな研究資料や報道、証言によって、天皇家と皇族の懐事情を明らかにしている。

 皇室の予算は「皇室費」と「宮内庁費」に大別され、さらに皇室費は「内廷費」「皇族費」「宮廷費」の3つに分類される。

天皇家の年間費用は3億2400万円

 内廷費は天皇家の5人の日常生活にかかる年間費用で、金額は3億2400万円となっている。1996年から据え置きの状態になっている。天皇家の私的なお金で、明細は明らかにされていない。総額の3分の1が人件費、残りの3分の2は物件費とされている。

 人件費というのは皇居の宮中三殿で祭祀を行う内廷職員に支払われる人件費だ。彼らは国家公務員ではなく、天皇家に雇用された非公務員で、約30人いるとされる。

 物件費の内訳は、衣服・用度品が18%(5832万円)、食費13%(4212万円)、奨励金など交際上の経費9%(2916万円)、研究・教養関係の経費7%(2268万円)、宮中祭祀の経費8%(2592万円)、その他雑費11%(3564万円)となっている。

 物件費の内訳の割合は1990年の参議院内閣委員会で宮内庁が明らかにした数字で、カッコ内は現在の内廷費に比率を掛けた金額である。

 この金額をすべて天皇家5人で使っているわけではなく、皇居に住み込んで働く約30人の内廷職員の分も含まれている。

 本書では「四半世紀にわたって内廷費が据え置きとなっている現状を考えたとき、天皇家の生活は一般国民が思っているほど優雅ではないというイメージが浮かんでくる」としている。

各皇族には定額で支払われる

 次の皇族費は、各宮家の皇族に対し年額により支出されるものだ。各皇族の定額は法律により定められ、2020年度は3050万円(秋篠宮さまは皇嗣となったため3倍の9150万円)。これがベースで、親王の妃に対しては定額の2分の1、成年に達した内親王は定額の10分の3が支払われる。つまり眞子さまは3050万円の約10分の3で915万円となる。

 天皇家に支払われる内廷費は、人数にかかわらず定額(3億2400万円)だが、皇族費は1人あたりの金額が積算されて合計額が決まっていく仕組みで、「より実態に即した金額が割り当てられているとも言える」と書いている。2020年度の皇族費の総額は2億6932万円である。

 最後の宮廷費は、儀式・国賓・公賓などの接遇、行幸啓、外国ご訪問など皇室の公的ご活動に必要な経費、皇居等の施設の整備に必要な経費で、2020年度は109億8007万円。宮内庁が経理する公金で、大半が工事費だ。

 このほかに宮内庁の運営のために必要な宮内庁費があり、2020年度は122億4877万円となっている。

 上記の構造からなる皇室の予算について、それぞれ1章ずつを充て、このほかに「第5章 皇室の財産」「第6章 眞子さまの『品位ある』生活」と題した章からなる。

 気になる第6章では、2005年に結婚した黒田清子さんの例を挙げ、皇族として品位を保つためのアレコレに触れている。黒田清子さんは結婚翌年、東京・目白に新築高級マンションを購入した。広さは約110平方メートルで、当時の価格は約1億円。赤外線センサーが張り巡らされ、住人であっても居住階以外の停止は制限されるセキュリティ万全の物件だ。

 約3分の2を清子さんが現金で払い、残りを夫・黒田慶樹さんがローンで支払う形にしたと報道された。東京都庁勤務の黒田さんにとって3000万円のローンは無理のない金額だろう。

 さて、気になる眞子さまの結婚問題。本書はずばり、こう書いている。

 「結婚相手の収入や資産がない状態で、それを強行しようとした場合、『品位』を保つ生活をずっと送り続けることは、少なくとも現行の法律の枠組みのなかではかなり難しい。その状況で結婚するならば、実際には、父である秋篠宮さまが何らかの形で援助を続けるしかないが、内廷費や皇族費の目的外流用は認められていない」
 「一時金を受け取り、その資金がなくなるまでに、小室さんがかなりの年収を稼ぐまでになれば問題は解決するが、その保証がない状態で結婚するとなると、結婚問題はさらに複雑化することも予想される」

 本書は、「一定の条件の下、民間人と結婚する皇族女性の生活を守るセーフティーネットを構築するという議論があってしかるべきだろう」と結んでいる。

 本稿では割愛したが、天皇家が所有する株式や無農薬で生産される栃木県の御料牧場の農作物など、広く皇族の「生活とお金」について紹介している。ベールに覆われているようだが、意外と公表された皇室関連のデータは多いと思った。コンパクトに読みやすくまとめた取材班の労を多としたい。

 BOOKウォッチでは、『天皇と戸籍――「日本」を映す鏡 』(筑摩選書)などを紹介済みだ。



 


  • 書名 天皇家の家計簿
  • 監修・編集・著者名宝島社皇室取材班 著
  • 出版社名宝島社
  • 出版年月日2021年2月 5日
  • 定価1078円(税込)
  • 判型・ページ数新書判・223ページ
  • ISBN9784299012777

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